体験レッスンは何件回るのがいいの?
こんにちは。いつも読んでくださってありがとうございます。
ピアノ講師として25年以上、たくさんの親子の「教室選び」の場面を見てきました。
新年度が近づくと、体験レッスンのお問い合わせが増える季節になりますね。
この時期、保護者の方からよく聞くのが、
「何軒か体験して、子どもに合う先生を探したいんです」
という言葉です。
慎重に選びたい気持ちは、とても自然なこと。
ピアノは「続けてこそ」伸びていく習いごとですし、
先生や環境との相性が合わないと、親子ともにしんどくなってしまうこともあります。
一方で、体験を回っているうちに
* どこがいいのか分からなくなってきた
* 迷いすぎて疲れた
* 子どもがだんだん乗り気じゃなくなった
…という声も少なくありません。
この記事では、体験レッスンで「失敗しないための考え方」と、
親子の負担を減らしながら選ぶコツを、ピアノ講師の視点から整理します。
体験レッスンを複数回るのは普通?
まず結論から言うと、体験レッスンを複数回ること自体は、ぜんぜん珍しくありません。
* 先生の教え方の違い
* 教室の雰囲気
* 通いやすさ(時間・距離)
* 料金や規約
ピアノ教室は「学校」のように一律ではなく、教室ごとにカラーが違います。
だからこそ、実際に行ってみて確かめるのは合理的です。
ただし、ここで一つだけ意識しておきたいことがあります。
「数を回ること」よりも、「何を見に行くか」が大切、ということ。
体験に行けば行くほど情報が増えるので、
基準がないまま回ると、かえって迷いやすくなります。
体験レッスンは、たくさんの項目を完璧にチェックする場というより、
“この教室なら続けられそうか”を感じ取り、確認する場です。
“相性”って何を見る?先生と子どもの会話がヒント
「相性を見たい」というとき、多くの方がイメージするのは
* 先生が優しいか
* 子どもが緊張しすぎないか
* 話しやすい雰囲気か
あたりだと思います。
ここで、講師の立場からお伝えしたいのは、
相性は「印象」だけでなく、やり取りの中に出るということです。
たとえば体験中、こんな場面を見てみてください。
* 先生が子どもに直接問いかけているか
* 子どもが自分の言葉で反応できているか(うなずきでもOK)
* 子どもが失敗したとき、先生がどう扱うか
* 先生の言葉がけで、子どもの表情がどう変わるか
ポイントは、「子どもがたくさん喋れるか」ではありません。
恥ずかしがり屋でも、緊張していても大丈夫。
それよりも大事なのは、子どもが“置いていかれていないか”です。
体験の会話がずっと保護者と先生だけで進んでしまうと、
子どもは「自分の習いごとなのに、自分の場じゃない」感覚になりやすいんですね。
(もちろん、最初は保護者が話す時間があるのは普通です)
相性を見るなら、ぜひ「先生と子どもの距離の取り方」を見てください。
ここが合うと、その後の伸び方も変わってきます。
体験で確認すべきポイント(料金だけじゃない)
体験レッスンは、つい「料金」「回数」「振替」など条件面に目が行きがちです。
もちろん大事です。
大事なんですが、条件だけで決めてしまうと、
あとから「なんか違った…」が起きやすいのも事実。
そこで、条件と同じくらい見てほしいのが、次の3つです。
1)先生の“軸”が何か
例:基礎を丁寧に積み上げるタイプ/表現を大切にするタイプ/楽しく続けることを最優先するタイプ など
→ どれが正しいではなく、「ご家庭の希望」と合うかが大事です。
2)教室のルールが“続けやすい形”か
振替のしくみ、宿題の考え方、発表会の方針など。
→ 厳しい・ゆるいの良し悪しではなく、生活に合うかどうか。
3)子どもが“安心して失敗できそうか”
ピアノは、失敗しながら上手くなる習いごとです。
体験の中で、先生が失敗をどう扱っているかは重要な判断材料になります。
条件は紙でも見られますが、こうした部分は「その場の空気」でしか分かりません。
体験レッスンでいちばん価値があるのは、実はここです。
回りすぎて疲れる理由。選択肢が増えるほど迷う
体験レッスンを何件か回ると、最初は「比較できて安心」するんですが、
途中からこうなりがちです。
* どこもそれなりによく見える
* 逆に、どこも決め手がなくなる
* 前に見た教室の印象が混ざってくる
* 条件を並べても「結局どれが一番?」で止まる
これは、保護者の判断力が弱いからではなくて、脳のしくみとして自然なことです。
選択肢が増えるほど、比較の項目も増えてしまい、迷いが深くなります。
そしてもうひとつ、見落とされがちなのが 子どもの疲れ です。
体験レッスンって、大人が思っている以上に子どもは頑張っています。
・ 初対面の先生
・初めての場所
・いつもと違うピアノ
・「ちゃんとしなきゃ」の緊張
これが続くと、子どもは「ピアノが嫌」ではなくても、
体験そのものが負担になってしまうことがあります。
だからこそ、「回る」ことよりも「回り方」を整えてあげるのが大事なんです。
おすすめの進め方。基準は3つまで/1件ずつ判断する
ここからは、わたしがおすすめしている進め方です。
① まず“優先順位”を決める(基準は3つまで)
たとえば、こんな感じでOKです。
① 料金(予算の上限)
② レッスン内容(基礎重視/楽しく/コンクール対応など)
③ 振替の柔軟さ(忙しいご家庭ほど重要)
逆に、基準を増やしすぎると迷いが増えます。
「発表会の有無」「先生の経歴」「教室の広さ」「教材」「通う曜日」…
全部大事に見えるけれど、全部を満たす場所を探し始めると、選ぶのがどんどん難しくなります。
迷わないコツは、“絶対に譲れない3つ”を先に決めること。
それ以外は、多少の差があっても「許容範囲」として扱えるようになります。
② 体験後は「当日中にメモ」がおすすめ
体験から帰ったあと、時間が経つと印象が混ざります。
なので、その日のうちに短くメモしておくと整理しやすいです。
おすすめはこの3つだけ。
・子どもの様子:表情(硬い/ゆるむ)、帰り道の反応
・先生の関わり方:子どもに直接話していたか、失敗の扱い方
・続けられそう度:生活に無理がないか(時間・送迎・規約など)
数字で評価するより、短い言葉で十分です。
例:「帰り道が軽かった」「先生の声が落ち着く」「宿題が現実的」など。
③ できれば“1件ずつ判断する”のがいちばん疲れない
最初から5〜6件を全部予約してしまうと、
途中で「もう決めたいのに…」が起きやすくなります。
なので、可能なら『1件体験 → 家族で整理 → 次を予約』
の流れが、親子ともにラクです。
もちろん、人気教室で予約が取りづらい場合もありますよね。
その場合は、最初から何件も押さえるとしても
・2件まで予約しておく
・体験後、違うと思ったら早めにキャンセルする
くらいが、負担が少ないと思います。
子どもの負担を減らすコツ(回数・間隔・声かけ)
体験レッスンは「大人の比較」になりやすいので、
子どもの負担を減らすために、ここだけ押さえるといいです。
① 体験は詰め込みすぎない(間隔をあける)
できれば、連日ではなく数日あける。
子どもは「切り替え」が苦手なので、間隔があるだけで疲れ方が違います。
② “上手に弾けるか”を目的にしない
体験はテストではなく、「空気を感じる場」です。
失敗してもOK、むしろ失敗した時の先生の対応が見られます。
③ 声かけはこれで十分
体験後は、質問攻めにすると子どもが疲れます。
おすすめはこの2つだけ。
・「今日、どんな気持ちだった?」
・「また行ってみたい?(△でもOK)」
子どもが言葉にできない場合は、無理に引き出さず、
表情や帰り道の様子を大人が観察すれば大丈夫です。
よくある質問:何件が目安?当日決めないと失礼?
Q. 体験は何件くらいが目安ですか?
A. ご家庭の条件にもよりますが、2〜3件で決まることが多い印象です。
ただし、「ここは違う」とはっきり分かる教室に当たったら、早めに切り上げてOKです。
Q. 体験後すぐに決めないと失礼ですか?
A. 即決しないのは失礼ではありません。
ただ、教室側としては「いつまで検討するか」が分かると助かるので、
「○日までにお返事します」と伝えると、お互い気持ちよく進みます。
Q. 子どもが何も言わないので決められません…
A. 体験で子どもが喋らないのは珍しくありません。
大事なのは、喋ったかどうかより、安心してそこにいられたかです。
「帰り道が軽かった」「表情がゆるんだ」「次も行っていいと言った」など、反応を拾ってあげてください。
まとめ。選び方の正解より、“続く形”を選ぼう
ピアノ教室選びは、正解を当てるゲームではありません。
大切なのは、親子にとって 無理なく続けられる形を選ぶこと。
・体験を回るのは悪くない
・ただし「何を見るか」を決めてから回ると迷いにくい
・基準は3つまで
・子どもの負担を減らす回り方をする
このあたりを押さえるだけで、体験の疲れ方が変わってきます。
新年度に向けて、親子に合う教室と出会えるよう、応援しています。
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「何を優先して選ぶか」が先に決まるだけで、
判断がぐっとラクになります。
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