こんにちは。
ノクターンやプレリュードという言葉を聞いたことがあるかと思います。
クラシック音楽の題名には、
このようないわゆる”ジャンル”が題名になっているものがたくさんありますが、
それぞれの持つ意味ってご存知でしょうか。
クラシックのタイトルにもなっている、
これらの曲種について書いていこうと思います。
今日は、即興的性格を持つジャンルをまとめてみました。
主要な音楽の前に置かれた淡い曲想の音楽を本来の前奏曲とよび、
バッハの「平均律」のプレリュードはフーガの前触れです。
17世紀ごろは、「プレリュード」と「フーガ」を組み合わせた形式の楽曲が
さかんにつくられました。
19世紀以降は、組曲の前奏曲としてだけでなく、
独立した楽曲としてつくられることも多くなりました。
独立した「プレリュード」は、
即興的な自由な作風の曲が多くあります。
ショパンやラフマニノフなど、
有名な作曲家たちも独立した「プレリュード」をつくっています。
フランスの作曲家であるドビュッシーも
「プレリュード」を多く作曲し、
12曲ずつ収められた前奏曲集が2編つくられています。
この中の「亜麻色の髪の乙女」は、
プレリュードの中でも有名であり、
代表的なものです。
即興曲という言葉はご存知の人も、
「アムプロムプチュ」と言われると
ハテナ?の人、多いかと思います。
音楽をやっている人なら一度は聞いたことのある言葉。
これは、「即興曲」と日本では言われています。
直訳すると、”即”、興せる曲。
すぐに何かに対応できる状態という意味で、
自由な形式でつくられた曲のことを指します。
即興でつくる、という意味ではなく、
「即興的に」というのがしっくりくるかと思います。
チェコの作曲家「ヴォジーシェク」という人が初めて即興曲を書いたと
言われていますが、残念ながら作品はあまり知られていません。
ショパンやシューベルトなどが代表的でしょう。
シューベルトは「4つの即興曲」という作品集を2編つくっていますが、
どちらも、シューベルト自身がつけた題名ではないようです。
(出版社がつけたといわれています)
ショパンは4曲即興曲を書いていますが、
すべて、ショパン自身が「即興曲」という題名をつけたそうです。
即興の達人なのに、4曲しか書いていないのも不思議ですね。
自由に楽想を展開した作品。
幻想的な内容を持つ作品。
その一方で、バロック時代には
模倣対位法による器楽曲として定義されています。
時代によって、ファンタジーの在り方が変わってきているのです。
バッハやモーツァルトなど
有名な作曲家の多くがファンタジーをつくっています。
中でも、ショパンの「作品49 幻想曲 ヘ短調」は
演奏会で演奏される有名な曲のひとつです。
「鍵盤に触れる」という意味から出た題名。
オルガンなど移動できない楽器は、
昼夜の大きな寒暖差や湿度の差で、
調律が狂ったり、鍵盤が上がらなくなることがあったそうです。
曲を弾く前に、異常がないかを調べるために
音階やアルペジオ、いろんな音域を使って即興で試し弾きをし、
技巧的に指慣らしをしたのが、トッカータのはじまりだそうです。
その歴史から、音階、アルペジオ、反復音などを用いた
即興的な作品としてのトッカータが作曲され、
さらに打楽器的な技巧を盛り込んだ壮大な内容の曲もつくられました。
バッハの「トッカータとフーガ」は、
鍵盤の上から下まで滑り落ちるように演奏される部分もあります。
「ちょっとしたもの」「つまらないもの」を意味する言葉。
小さなスケッチのような内容のピアノ小品を示す題名として、
ベートーヴェンが数多く作曲しています。
「エリーゼのために」も以前はこの、
”バガテル”の部類に入っていたとのこと。
今は除外されているそうです。
スケッチ風とはいえ、
十分な風格を感じます。
晩年に作曲された「6つのバガテル」は、
組曲風になっており、6曲続けて演奏することが意図されています。
ベートーヴェン自身、
「このジャンルの中で最高のものだ」と出版社に書いたといわれている秀作です。
以上が、即興的性格を持つジャンルでした。
次回は、情感的性格を持つジャンルをご紹介したいと思います。