「芸術は長く 人生は短し」
これは、医学の祖といわれるヒポクラテスの言葉。
紀元前3世紀ごろの「ヒポクラテス全集」によって伝えられた言葉。
もともとは、「医術をマスターするには長い年月がかかかる。だから学ぶ者は一生勉強をし続けなければならない」
こんなニュアンスで伝えられていました。
でも今日はもう少し深堀りして、この言葉の意味を考えてみたいと思います。
芸術作品は後世まで受け継がれる。
でも私たちの命は儚く短い。
こんなふうに捉えてみると、芸術作品への想いがいっそうふくらんでくるのではないでしょうか。
医術もいってみれば、”芸術”の域にあることが多いような気がします。
外科的な治療ですと、手術という方法があります。
これは、メスで人の身体に傷を入れることで、直接人が患部に触れて治すことできる、という「技」になります。
それは、経験に経験を重ね、何度も何度も繰り返すことによって熟練されるもので、一日で完成するものではありません。
それを「芸術」と重ね合わせる。
まさに医学の分野でも、芸術的な「技」によるところが大きいのも事実かと思います。
手術を受けて、切った傷がきれいな時ってなんか嬉しかったりする。
人の手が施すことはすべて、「技」によるところ大きいと思います。
他には、マッサージとか整体もそうですね。
人の身体の状態というのは、いつも同じではないので、”今どんな状態か”をきちんと見極められる方にこういったお仕事に向いているのではないかと思います。
「技」や「術」を極めるために、一生学びだということも忘れてはいけませんね。
私たち音楽家も、「技」を磨いています。
人に伝える「術」も人によって違うし、どのように言ったら伝わるのかは人それぞれ。
常に相手を観察し、洞察力を深め、相手に寄り添う意識を高める。
そして、過去の芸術家たちの音楽を、”いま”そして”これから”へ、つなげていく。
そんな役割を担っていると感じています。
今の時代に合った伝え方。ニュアンスも世界観も・・・。
それは作曲家ご本人が望んでいるかどうかはわからないけれど、時代も変われば音楽の捉え方も少し変わってくるものだと思うから。
医学と音楽は、本当に共通点が多いような気がします。
最後に、ヒポクラテスの他の格言もご紹介したいと思います。
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すべての病気は腸から始まる
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歩くことは人間にとって最良の薬である
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人は自然から遠ざかるほど病気に近づく
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私たちの内にある自然治癒力こそ真に病を治すものである
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人間がありのままの自然体で自然の中で生活をすれば120歳まで生きられる
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病気は人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者はこれを手助けするものである
深い・・・ですね。
自然治癒力や自然体でいること、などはなんとなく理解できるような気がします。
だって、私たちは自然界の一部なのですから。