ピアノの上達が“遅い”と感じるときに大切なこと 〜親の不安と、講師との上手なつき合い方

ピアノを教えるようになって、もう25年になります。
これまでに、たくさんの子どもたちと出会い、
そして、それ以上にたくさんの親御さんとお話してきました。

 

そんな中で、よく聞く声があるんです。

 

「なんとなく、うちの子だけ上達が遅い気がして・・・」
「同じくらいの年齢の子が、もっと難しい曲を弾いていて・・・」

 

もしかして、あなたも一度くらい、そんなふうに思ったことありませんか?

 

発表会やグループレッスンで他の子の演奏を聴いたとき、
SNSで誰かの動画を見たとき、
ふと、比べるつもりなんてなかったのに、
「うちの子、このままで大丈夫かな・・・」って心配になること。

 

その気持ち、すごくよくわかります。
わたしも、講師として多くの親御さんと接してきた中で、
「周りと比べて焦ってしまう」あの感覚を、何度も一緒に味わってきました。

 

今日はそんなときにこそ、伝えたいことがあります。

 

この記事では、

  • 上達のスピードって本当に“速いほうがいい”の?
  • 焦りを感じたとき、どう捉え直せばいいの?
  • 講師とはどんなふうに話せばいい?

 

そんな視点から、少し心がラクになるようなヒントをお届けできたらと思います。
気軽に読んでみてくださいね。

 

上達のスピードって、本当に“速いほうがいい”の?

「もう〇〇のテキストに入ってるんだって」
「発表会であんなに難しい曲を弾いてた」
そんなふうに他の子の様子を知ると、つい気になってしまいますよね。

 

でも、ピアノの上達って、ただ「進度が速い=すごい」わけではないんです。

 

たとえば、
・音をよく聴いて弾けているか
・自分で考えて練習できるようになってきているか
・ミスをしても落ち着いて対応できるか

 

こうした“内側の成長”は、目に見えにくいけれど、とても大切な力です。

 

しかも、上達のスピードには本当に個人差があります。
指の発達、集中力、性格、その子の「ピアノとの関係」・・・すべてが違うから。

 

むしろ、ゆっくりでもていねいに進めている子のほうが、
のちのち、グッと伸びることもよくあるんです。

 

焦らず、いまのペースを大切にしてあげてほしいなと思います。

 

親の焦りは、意外と子どもに伝わっているかも

これは、わたしが講師としてよく感じることなのですが、
親御さんが「早く進んでほしいな」「もっと練習してほしいな」と思っていると、
子どもは、はっきり言葉にされなくても、意外と敏感に感じ取っています。

 

するとどうなるかというと、
「できてないとダメなんだ」「うまく弾けないと怒られるかも」
そんなふうにプレッシャーを感じて、ピアノが“楽しくないもの”になってしまうことも。

 

もちろん、親御さんだって一生懸命なんです。
心配になるのは当然のこと。

 

でも、子どもが自分のペースでのびのびと弾けるようになるためには、
「できること」よりも、「やろうとしていること」に目を向けてあげるのがとても大切です。

 

たとえば、
「昨日より少し音がきれいになったね」
「自分で間違いに気づけてたね」
そんなふうに、成長の“途中”を見つけてあげることが、
子どもにとってはなによりの励みになります。

 

・・・では、どんな声かけが、子どもに安心感を与えられるのでしょうか?

 

親ができる、やさしい声のかけ方

「その曲、好きなんだね。弾いてるときの顔、楽しそうだったよ」
「最後まであきらめなかったね。がんばってて、すごいなと思ったよ」
「おうちで練習してたときより、今日のほうが音がのびてたね!」

 

これらは、結果よりも“プロセス”に注目した声かけ。
ちょっとした一言で、子どもは「見てもらえてる」という安心感を得られます。

 

もし、「つい結果を気にしてしまう・・・」という方には、
こちらの記事も読んでみていただけたらと思います👇

˙親の見学が気になる?ピアノレッスンで子どもがのびのびと学ぶためのアプローチ

 

焦りや不安を手放して、「今この瞬間を楽しめる」空気をつくっていくことが、
上達のいちばんの近道になるかもしれません。

 

講師とのコミュニケーションで、安心感を持とう

「うちの子、他の子と比べてどうなんでしょう?」
そう感じたときは、思い切って先生に聞いてみてください。

 

大丈夫かな?なんて不安そうに聞くのではなくて、
「どんなところが伸びてきていますか?」
「この子に合ったペースって、どのくらいでしょう?」
そんな聞き方をしてもらえると、先生もすごく話しやすいです。

 

逆に、言いにくい空気があると、
お互いに遠慮してしまって、すれ違いが起こることも。

 

講師と保護者が、「チームで子どもを見守っている」という感覚を持てると、
子どもはもっと安心してレッスンに向かえるようになります。

 

どうぞ、気になることは一人で抱え込まずに、やわらかく伝えてみてくださいね。

 

見守る“ものさし”を変えてみよう

子どもの成長を見守るって、実はけっこう難しいですよね。

 

とくにピアノのように、目に見える成果(弾けた・弾けない)がはっきりしているものだと、
ついつい「上手かどうか」や「どこまで進んでいるか」に目が向いてしまいがちです。

 

でも、その“ものさし”を少しだけ変えてみると、
今まで見えていなかった成長に、たくさん気づけるようになります。

 

たとえば・・・

前よりも、落ち着いて椅子に座れるようになった
苦手だったリズムを、自分で練習してきた
間違えても、すぐに投げ出さずに取り組めた

 

こういう「ちいさな変化」って、毎週のレッスンでしっかり積み重なっていくんです。
表に出るのはあとからかもしれないけど、見えないところで、きちんと育っていきます。

 

だからこそ、「今できていないこと」よりも、
「ちょっと前よりできるようになったこと」に目を向けてみてくださいね。

 

子どもは、誰かに“気づいてもらえる”ことで、もっと伸びていきます。

 

おわりに。子どもは、親の“まなざし”で育っていく

上達が遅いのでは・・・?と感じたとき、
その気持ちの奥には、きっと「この子に上手になってほしい」という
愛情や願いがあるのだと思います。

 

だからこそ、焦るし、不安にもなるんですよね。
それは、決して悪いことではありません。

 

でも、長い目で見たときにいちばん大切なのは、
子どもが「ピアノって楽しいな」「やっててよかったな」と思える気持ちを育てていくこと。

 

親が安心して見守ってくれている・・・
そのまなざしが、子どもにとって何よりのエネルギーになります。

 

進むペースがゆっくりでも、比べる必要はありません。
その子の“音楽の時間”が、豊かで、たのしいものでありますように。
そのお手伝いができたら、講師としてこれ以上うれしいことはありません。

 

˙あとがき・おすすめ記事
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
さらに深く知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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