グラミー賞。ダライ・ラマ14世の朗読(ナレーション)受賞でわかる“声の表現”
「ダライ・ラマ14世がグラミー賞?」
驚きますよね。
けれど受賞は歌ではなく朗読(ナレーション)作品。
ここから“声の録音”と演奏表現の共通点をみていきたいと思います。
グラミー賞は「歌だけじゃない」。朗読(ナレーション)も評価される
グラミー賞というと、華やかな歌のステージやアーティストの名前が先に浮かびます。
でも実は、グラミー賞は「歌の賞」だけではありません。
基本は“録音作品”をたたえる賞で、オーディオブックやナレーションのように
「声で聴かせる作品」も対象になります。
ここを知っていると、「宗教家が音楽の賞で?」という驚きも、少し落ち着きますよね。
評価されているのは肩書きや思想というより、
録音としての届け方、“聴かせ方”。
歌がメインではないカテゴリがある、
それだけで、このニュースの見え方が変わってくるんですよね。
朗読は「読む」ではなく「演奏」。声の音色/間(ま)/呼吸/リズム
朗読(ナレーション)は、文章をただ読み上げる行為・・・に見えて、
実はけっこう“演奏”のような気がしています。
たとえば同じ一文でも、ちょっとした違いで聴こえ方がガラッと変わります。
たとえば、こんな要素。
声の音色:温度、艶、やわらかさ、乾き。言葉の質感が変わる
間(ま):言葉と言葉の距離。余韻を置くと、意味が深く届く
呼吸:どこで息を吸い、どこで流すか。安心感や緊張感が生まれる
朗読の上手さって、滑舌のよさだけではありません。
「どこで急がず、どこで置くか」。
そして「どんな波を運ぶか」。
言い換えると、聴き手の時間を整える力なんですよね。
ちなみに、音色というのは、「聴き分ける耳」があるほど見えてきます。
ピアノでも同じで、耳が育つと“表現の選択肢”が増える。
もし「音色って結局なに?」が引っかかっている方は、
「音色を聴き分ける「耳育」トレーニング」も合わせてどうぞ。
ピアノにもそのまま通じる。タッチ/間合い/フレージング
朗読で起きていることは、ピアノでもびっくりするくらい同じです。
譜面に書かれているのは音符と記号。
でも、聴き手に届くのは「情報」よりも、もっと手触りのあるもの・・・それは「表現」です。
たとえば・・・
- 声の音色 → ピアノの音色(タッチ)
同じ音でも、触れ方で雰囲気が変わる。
硬い/丸い/透明/影がある、など。 - 間(ま) → 間合い(沈黙の使い方)
音が鳴っていない瞬間が、フレーズの意味を決める。 - 呼吸 → フレージング(息の流れ)
どこで持ち上げて、どこでほどくか。音楽がふっと“話し始める”。
朗読って、言葉をどう置くか。
ピアノも結局、音をどう置くか。
派手なテクニックの前に、置き方ひとつで「届き方」が変わる。
だからおもしろいんですよね。
この“置き方”を体感として思い出したい人には、
「生ピアノの「ゆらぎ」が心を整える話」もおすすめです。
録音の世界からいったん離れて、生の響きの中で「生の響き」のなかで「音の時間」を受け取る感覚。
今回の話とつながっています。
声も音も「在り方」が出る
朗読は、ごまかしが効きません。
録音だからこそ、クセも緊張も、逆に丁寧さも、そのまま残ります。
演奏も同じで、音は本当に素直です。
うまく見せようとするほど硬くなる日もあれば、
肩の力が抜けた日にすっと届く日もある。
お寺の子として思い出すのは、みんなで声を合わせる稽古の感覚です。
読経でも、ただ同じ文を読むだけじゃなくて、
息の長さ、スピード、間の置き方をそろえていきます。
急がない、乱さない、間を怖がらない。
華やかさとは別のところで、淡々と整える。
朗読にも演奏も、最後は「声(音)の出し方」より、「整え方」が出るんですよね。
この話、「なるほど」で終わってもいいけれど・・・。
でも、演奏している人なら少しだけ引っかかる話かもしれません。
最後に問いをひとつだけ・・・あなたの「間(ま)」は、
聴き手の呼吸を楽にしていますか?
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