ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が音楽について語ります。
雨がしとしとと降り、雨音も「癒し」だと感じられる時もあれば、ジメジメとして鬱陶しい季節だなと感じる時もある梅雨。
そんなちょっと憂鬱な気分の時に、ふと聴きたくなる曲、ショパンのプレリュード「雨だれ」をご紹介します。
アシュケナージの演奏です。
ピアノ講師として多くの生徒さんにこの曲を教えてきましたが、梅雨の時期になると特にその魅力が増すような気がします。
ショパンは19世紀のポーランド出身の作曲家であり、彼の作品は多くの人々に愛されています。
プレリュード「雨だれ」は曲全体にわたって繰り返される低音のリズムが、まるで降り続く雨のように感じられることから、この名前がつけられました。
またメロディーラインやハーモニーに美しさ、曲全体の情感が聴く人の心に深い印象を与えます。
特に梅雨の時期に聴くといっそうその静かな美しさが引き立つように感じられるでしょう。
ここで、この曲の中で表現されている「感情」について少しお話ししたいと思います。
みなさまは、この曲を聴いてどんな気持ちを感じましたか?
いくつか挙げてみたいと思います。
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1.憂鬱(メランコリー)
繰り返される低音の音型と穏やかなメロディラインから、全体的に哀愁漂う雰囲気が感じられますね。
ショパンの健康状態やジョルジュ・サンドと出かけたマヨルカ島でひとりサンドの帰りを待つ孤立感が反映されているともいわれます。
2.平穏
曲の始まりと終わりの静かな部分には、深い静けさと内省的な雰囲気が漂います。
雨だれの音に耳を傾けるような、落ち着いた心情が感じられます。
3.不安と緊張
中間部の劇的な部分には、内なる不安や緊張感が表れています。
この急激な感情の変化は、ショパンが抱えていた心の動揺を反映しているともうけとれます。
4.希望
曲の終盤に向かうにつれ、再び静かな雰囲気に戻ることで、嵐の後の静けさや再生の希望を感じさせます。
辛い時期を乗り越えた後の安堵感や未来への希望が込められているのかもしれません。
5.感謝
曲全体を通して、日常の小さな美しさや自然の営みに対する感謝の気持ちが表現されているとも考えられます。
特に雨だれの音のような繊細な描写から、そのような感情を感じ取ることができます。
6.愛
ショパンの愛情深い性格やジョルジュ・サンドとの関係性も、この作品に影響を与えている可能性があります。
愛情や親しみの感情が織り交ぜられているかもしれません。
ピアノ講師としてこの曲を教える際、特に強調するのはリズムの安定感と感情の表現です。
低音のリズムをしっかりと刻みながら、メロディーラインを美しく演奏することが求められます。
ゆっくりとした店舗で練習をし、曲の情感を感じながら演奏することを心がけるようアドバイスしています。
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まとめ
ショパンのプレリュード「雨だれ」は梅雨の時期にこそ聴きたくなる曲です。
その静かな憂いと寂しさ、そして深い思索と内省が雨音と共に心に響きます。
この曲を通じて、自分自身と向き合う時間を持ち、心の平穏を感じてみてくださいね。
ピアノの音色があなたの心に癒しと安らぎをもたらしてくれるでしょう。