『メサイア』とともに過ごすクリスマス 〜愛、希望、平和を再発見する〜

ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が音楽について語ります。

 

✼••┈┈┈┈••✼

 

『メサイア』とともに過ごすクリスマス

 

クリスマスが近づくと聴きたくなるクラシック音楽のひとつに、
ヘンデルの『メサイア』がありますね。

 

上のプレイリストは、2007年リリースの『ロンドン交響楽団』の演奏です。

 

街はイルミネーションでキラキラと輝いていて・・・、
プレゼントを探しに街に出かけたり、
家族や友人と温かい時間を過ごしたり、
なんだかワクワクしてきますよね。

 

けれど、クリスマスは単なるお祝いのイベントではありません。

 

クリスマスは、特別な深いメッセージが込められていると思うのです。

 

そのメッセージを美しく音楽に表現した作品こそ、
ヘンデルの『メサイア』だと思います。

 

今回は、クリスマスシーズンにぜひ聴いてほしいクラシック音楽『メサイア』と、
その背景に込められた愛、希望、平和のメッセージについて、
さらにメンタルコーチとしての視点もお話ししていきたいと思います。

 

この記事をとおして、みなさまがこの時期を
より深く味わうきっかけとなればうれしいです。

 

 

ヘンデルの『メサイア』とは?

『メサイア』は、ドイツ出身の作曲家ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが1741年に作曲したオラトリオ(宗教音楽の一種)です。

 

オラトリオとは、オペラのようにソリストたちが物語を語り継ぐ形式ですが、
舞台装置や演技は伴いません。

 

そのため、音楽そのものの力で聴くわたしたちの心を揺さぶります。

 

『メサイア』の中で特に有名な楽曲は、第二部から最後の合唱「ハレルヤ・コーラス」です。

 

この壮大な合唱は、まるで天上の音楽が響いてくるかのように、聴くわたしたちに感動を与えてくれます。

 

この楽曲はクリスマスだけでなく、復活祭の時期にも演奏されることが多く、
キリストの誕生から死、復活までの物語を音楽で描き出しています。

 

そもそも「オラトリオ」って何?

『メサイア』は「オラトリオ」と呼ばれる形式の音楽作品です。

 

オラトリオというのは、簡単にいうと、宗教的な物語を音楽で表現する大規模な作品です。

 

ただ、オペラのように舞台装置や衣装、演技があるわけではなく、
主に合唱や独唱、そしてオーケストラによって物語が進んでいきます。

 

そのため、オラトリオは聴く人の想像力を掻き立てて、
音楽そのものに集中して楽しむことができるのが特徴です。

 

『メサイア』の誕生の背景

『メサイア』は、作曲家ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel)が1741年に作曲したオラトリオです。

 

彼はドイツ生まれですが、成人後はイギリスに移住し、そこで数多くの名曲を生み出しました。

 

当時の彼は、オペラの作曲家として大成功していましたが、
その後、オラトリオ作曲に力を注ぐようになります。

 

『メサイア』は、聖書の内容から構成されています。
そしてこの作品は、キリストの生涯を描くだけでなく、
「人類への神の愛」をテーマにした壮大な作品です。

 

とくに、イエス・キリストの誕生(クリスマス)、受難(イースター)、
そして復活を3部構成で描いています。
このため、クリスマスの時期だけでなく、イースターの時期にも演奏されることが多いのです。

 

では、実際に構成をみていきたいと思います。

 

『メサイア』の構成

『メサイア』は、全体で3つのパートに分かれています。

 

それぞれのパートは、異なるテーマで展開されます。

 

  1. 第1部 旧約聖書の預言者たちによる救世主の到来の予告と、イエス・キリストの誕生について描かれています。
    この部分は、まさにクリスマスの物語にぴったりで、優美で穏やかな雰囲気が特徴です。
  2. 第2部 キリストの受難と贖い(あがない)について描かれています。
    クライマックスの「ハレルヤ・コーラス」は、この部分の最後に登場し、壮大で力強い合唱が響き渡ります。
    この曲を聴くと、思わず胸が熱くなり、心が高揚するという人も多いのではないでしょうか。
  3. 第3部 キリストの復活と永遠の命についての賛美が続き、全体を締めくくります。
    最後の曲は、穏やかで感動的な雰囲気で幕を閉じます。

 

このオラトリオは、特定の宗教を信仰していなくても、心に響く力を持っています。

 

音楽を通して伝えられる”愛”と”救い”のメッセージは、
私たちが忙しい現代生活の中で忘れがちな大切な価値観を思い出させてくれます。

 

✼••┈┈┈┈••✼

 

『メサイア』が持つ世界観

『メサイア』は、聖書の言葉をもとに、イエス・キリストの生涯を三部にわけて描いています。

 

この作品全体を通して流れるテーマは、”神の愛”と”人類への救い”です。

 

そのため、『メサイア』の世界観は、宗教的な教えを超えて、
普遍的な人間の心の奥深くに訴えかけるものがあります。

 

1. 愛と慈悲の普遍性

『メサイア』の第一部は、預言者たちが救世主の到来を告げる場面から始まります。

 

この部分は、神がすべての人々を愛し、救いをもたらすというメッセージを象徴しています。

 

音楽は優雅で柔らかく、まるで天から降り注ぐ光のように、聴いているわたしたちの心を包み込みます。

 

ここで表現される”愛”とは、単なる感情としての愛ではなく、
無条件ですべてを包み込む”神の愛”です。

 

この愛は、すべての人たちに平等に与えられ、
わたしたちが日常の中で忘れてしまいがちな”無償の愛”を思い起こさせてくれます。

 

2. 苦難を越えた希望の光

第二部では、イエス・キリストの受難と復活が描かれます。

 

ここでの音楽は、ときに暗く重々しく、
苦しみを表現しながらも、最後には希望に満ちた調べへと展開していきます。

 

この部分の世界観は、「苦難の中でも必ず希望が見つかるんだ」という普遍的な真理を伝えているのだと思います。

 

特に、「ハレルヤ・コーラス」は、人々が再び希望を見出す瞬間を象徴していますよね。

 

この合唱は、絶望を超えた先にある”光”を祝うものであり、
聴いているわたしたちに希望と勇気を与えてくれます。

 

『メサイア』は、ただの悲劇の物語ではなく、
希望のメッセージを強調することで、私たちの心を高揚させてくれるのです。

 

3. 内なる平和への導き

第三部は、キリストの勝利と永遠の救いについて語っています。

 

ここでは、人々が最終的に「内なる平和」を見出し、
永遠の安らぎに包まれる様子が描かれています。

 

この部分の音楽は、聴いているわたしたちの心を深い静寂と平和へと導きます。

 

この世界観は、外的な平和だけでなく、内面的な平和の重要性を強調していると思います。

 

特に現代のようにストレスや不安が多い時代において、
『メサイア』のメッセージは、私たちが本当に求めている「心の平和」を再発見する助けとなってくれるようです。

 

 

「ハレルヤ・コーラス」の秘密

『メサイア』の中でも特に有名な楽曲が、
「ハレルヤ・コーラス(Hallelujah Chorus)」です。

 

この曲は、力強い合唱と躍動感のあるオーケストラが織りなす華やかな音楽で、
聴いているわたしたちすべての心を響かせます。

 

「ハレルヤ・コーラス」が演奏されると、
観客が思わず立ち上がるというエピソードを聞いたことがある方もいるかもしれません。

 

これは、初演時にイギリス王ジョージ2世が感動のあまり立ち上がり、
それに観客全員が続いたという逸話がもとになっているようです。

 

以降、現在でも多くの国でこの伝統が続いているのだと思います。

 

 

クリスマスに『メサイア』を楽しむ方法

クリスマスの時期になると、世界中のさまざまな場所で『メサイア』が演奏されます。

 

もしコンサートに行く機会があれば、ぜひ生の演奏でその迫力を体験してみてくださいね。

 

合唱とオーケストラの一体感が、まるで心に直接響いてくるような感覚を味わえるでしょう。

 

また、自宅で楽しむのもおすすめですよ。

 

最近では、YouTubeや音楽ストリーミングサービスでも高音質の録音が聴くことができます。

 

特に、静かな夜に小さな灯りを灯して、
『メサイア』の音楽に耳を傾けると、その壮大な世界に包み込まれるような気分を味わえます。

 

クリスマスの特別な時間を、さらに豊かに彩ってくれるはずです。

 

 

『メサイア』に込められたクリスマスのメッセージ

クリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝う日として知られていますが、
その本質的なメッセージは「愛、希望、そして平和」に集約されていると思います。

 

『メサイア』の音楽が、なぜクリスマスの時期に多くの人たちの心を打つのか・・・。

 

それは、このオラトリオがわたしたちの内面に深く訴えかける力を持っているからです。

 

1. 愛(Love)

イエスの誕生が象徴するものは、無条件の愛です。

 

『メサイア』の第一部では、救世主の誕生を高らかに祝福し、
その愛がすべての人に向けられていることを讃えています。

 

この無償の愛は、私たちが日々の中で体験する感情的な愛よりも、はるかに深いものです。

 

それは、見返りを求めない純粋な愛であり、他者だけでなく、
自分自身に対しても向けられるべきものです。

 

♡*゜メンタルコーチからのアドバイス♡*゜

クリスマスの時期、他者に愛を分かち合うと同時に、
自分自身にも優しさを向けましょう。

♥︎「今、何がしたいですか?」

 

たとえ小さな贈り物でも、心を込めて誰かを思いやることで、真の愛を実感できるはずです。

 

そして、自分自身に対しても「よく頑張っている」と認めることで、心に余裕が生まれます。

 

2. 希望(Hope)

『メサイア』の第二部では、キリストの受難と復活が描かれていますが、
そこには暗闇の中でも光を見出すという希望が込められています。

 

冬の寒さの中で、私たちは春の訪れを待ち望みます。

 

それと同じように、『メサイア』の音楽は、困難な時期にも未来への希望を示してくれるのです。

 

♡*゜メンタルコーチからのアドバイス♡*゜

もし今、困難な状況に直面しているなら、小さな希望を見つけることが大切です。

♥︎「ひとつだけ、感謝できることがあるとすればどんなことですか?」

 

未来への希望は、心を支える大きな力になります。

 

日々の生活の中で、小さな喜びを意識することで、心に希望の光を灯しましょう。

 

3. 平和(Peace)

『メサイア』の最後の合唱「ハレルヤ・コーラス」は、勝利と平和を祝う壮大な楽曲です。

 

クリスマスが伝える平和は、単に戦争や争いのない状態を意味するだけではなく、
わたしたちの内面に平和をもたらすものです。

 

内面的な平和がなければ、どんなに周囲が平穏であっても、心は落ち着きません。

 

♡*゜メンタルコーチからのアドバイス♡*゜

内面の平和を見つけるためには、
一日の中で意識的に心を落ち着ける時間を取りましょう。

♥︎「5分だけ自分のために時間を取れますか?」

 

深呼吸をして、今この瞬間に意識を集中することで、心がリセットされます。

 

クリスマスの時期は、家族や友人と過ごすだけでなく、自分自身と向き合う時間を大切にしてくださいね。

 

 

まとめ:クリスマスをもっと豊かに過ごすために

『メサイア』は、ただ美しい音楽というだけではなく、
わたしたちの心に深いメッセージを届けてくれます。

 

愛、希望、そして平和・・・これらは、クリスマスの本質を象徴するキーワードです。

 

今年のクリスマスは、単なる賑やかなイベントで終わらせてしまわずに、
心の中でこれらのメッセージを再発見し、日常生活に活かしてみてくださいね。

 

最後に、今年のクリスマスが、みなさまにとって愛と希望、
そして平和に満ちた時間となりますように。

 

クラシック音楽の美しい調べとともに、心が温かくなるひとときをお過ごしくださいね。🎄

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました