「自分の耳が先生」になる!ピアノのための『耳育(みみいく)』トレーニング

ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。

 

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「自分の耳が先生」になる!ピアノのための『耳育(みみいく)』トレーニング

ピアノを練習していて、『なんだかしっくりこない・・・」と感じたことはありませんか?

 

ピアノを練習する際、「いい耳を育てることが大切」とよく言われます。

 

では、「いい耳」とは具体的にどのような耳のことをいうのでしょうか?

 

また、その耳を育てるためにはどんな方法があるのでしょうか?

 

ピアノを習っている方も、練習中は先生に見てもらっているわけではないので、
『練習中の先生は自分の耳』と捉えてみると、いい耳を育てる大切さがわかってくると思います。

 

ピアノ練習がもっと効率よくなり、短時間で上達したいと思っているピアノ学習者の方に読んでもらえたら、と思います。

 

いい耳とはどんな耳?

「いい耳」とは、音楽を深く感じ取り、正確に聴き分ける能力が備わった耳のこと。

 

なんだか難しく感じるかもしれませんが、
少しずつトレーニングしていくことで、いい耳を育てることができます。

 

いい耳の特徴を以下にあげておきますね。

  1. 音程の正確な聴き分け
    高低差や微妙な音程の違いを認識できる能力
    (これは絶対音感がないとダメなわけではありません)
  2. 音色の識別
    楽器ごとの音色や演奏方法による音の変化を感じ取る力
  3. リズム感の把握
    細かなリズムの違いや拍子感を正確に聴き取る力
  4. 和声感覚
    複数の音が重なるハーモニーを聴き分け、それがどのように進行しているかを理解する力
  5. 音楽的なニュアンスの理解
    フレージングや強弱、テンポの変化など、音楽の表現を感じ取る力

 

「いい耳」を育てるための方法とは

「いい耳」は一日二日で育つものではありませんが、
少しずつ鍛えることでいい耳を育てることができます。

  1. 質の高い演奏を聴く
    プロの演奏や好きなピアニストの録音を繰り返し聴くことで、耳を音楽に慣れさせることができます。
    音色やニュアンスに意識を向けるのがポイントです。
  2. 耳コピーに挑戦する
    楽譜を見ずに、耳で聴いたメロディをピアノで弾いてみる練習をします。
    これは音感と指の連動を鍛える効果的な方法です。
  3. ソルフェージュの練習
    音を正確に聴き取り、声に出して歌うトレーニングは、音感やリズム感を鍛えるのに役にたちます。
  4. 録音を活用する
    自分の演奏を録音し、後から聴き返すことで、自分の音の質や表現の課題に気づくことができます。
  5. 他の楽器やジャンルに触れる
    ピアノ以外の楽器や異なる音楽ジャンルに触れることで、音楽全体に対する理解が深まり、耳も自然と鍛えられます。
  6. 即興演奏を試す
    自由に音を出しながら、音の関係性やハーモニーを感じ取る練習は、耳を敏感にするいい方法です。
  7. 多声的音楽を練習する
    バッハのインヴェンションやフーガのような多声的な曲を練習し、各声部を意識して聴き分けることを心がけます。
    この練習で、耳と頭をフル活用して音楽を深く理解する力が養われます。
  8. 特定の音に集中する練習
    曲の中で特定の音(メロディ、伴奏、ベースなど)に意識を集中させて聴く練習を行います。
    一度にすべてを聴こうとせず、分解して聴きとることで耳が鍛えられます。
  9. ハーモニーの分解練習
    和音を一音ずつ弾いて音程や音色を確認したり、和音の中で目立つ音を意識して聴くことで、耳の敏感さを育てます。

 

生の演奏を聴く大切さ

録音を聴くことも大事ですが、「生の演奏を聴く」ことはさらに重要です。

 

生演奏には、録音では得られない音のダイナミクスや響きの豊かさがあり、
次のようなメリットがあります。

  1. 音の響きを直接体感できる
    生の演奏では、ピアノの音がどのように空間に広がるかを感じることができます。
  2. 演奏者の表現を肌で感じられる
    演奏者の身体の動きや表情、呼吸まで含めて音楽を感じることで、表現力が豊かになります。
  3. その場の空気感を体感できる
    会場の空気や他の観客の反応をとおして、音楽の持つエネルギーや感動をより深く味わえます。
  4. 細かな音のニュアンスを学べる
    生演奏では、ピアニストがどのようにペダルを使い、指先のタッチで音をコントロールしているかを聴きとることができます。

可能であれば、コンサートやリサイタルに足を運び、
実際の演奏を聴く機会を増やしてみましょう。

 

音の感じ方や表現力が磨かれ、より「いい耳」を育てることができます。

 

練習中の先生は「自分の耳」

ピアノの練習では、「自分の耳が先生」という考え方が重要です。

 

これは、演奏中に自分の音を注意深く聴き、
それを活かして表現を高めるというアプローチです。

 

次のようなポイントを意識するといいと思います。

  1. 音の質を確認する
    自分が出す音がクリアで美しいか、濁っていないかを耳で判断します。
  2. ニュアンスを聴きとる
    強弱やフレージングが楽譜通りに表現されているかを確認します。
  3. 全体の流れを聴く
    細部だけでなく、曲全体の構成や音楽の流れが自然かどうかも耳でチェックします。
  4. 録音を何度も聴き返す
    自分の耳だけでは気づけない点を録音で客観的に分析し、次の練習に活かします。

 

まとめ

ピアノをうまく演奏するためには、「いい耳」を育てることが欠かせません。

 

「いい耳」とは、音楽を深く理解し、細かいところまで聴きとる力を持った耳です。

 

いい耳を育てるためには、質の高い音楽を聴くことや生演奏を聴くこと、耳コピーやソルフェージュの練習、録音の活用など、いろいろな方法があります。

 

これらのトレーニングを重ねていくと、音楽の中にあるさまざまな音色を聴き分けることができたり、音楽の全体像をとらえることができるようになります。

 

このプロセスを楽しみながら、少しずつ自分の耳を育てていきましょうね。

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