ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。
♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰ ⋱✮⋰ ⋱♱⋰
ピアノの練習によって脳が発達する?
みなさまは、ピアノを習ったことがありますか?
こどもの習いごとで「ピアノ(楽器)」というのは、どのくらい人気があるのでしょうか?
2022年の調査、「小学生がしている習いごとランキングトップ5」
1位 水泳・スイミング
2位 音楽教室
3位 学習塾
4位 通信教育
5位 英会話教室
音楽教室は水泳に次ぐ2位になっています。
約35%の子どもが何かしらの楽器を習っているそうです。
楽器、おもにピアノの練習によって、脳が発達するというのはいろいろなところで聞いたことがあるかと思います。
では、具体的にどのように発達するのか解説していきたいと思います。
ピアノを弾くことは、右脳と左脳の両方を活性化させる
ピアノを弾くには、右手と左手を両方動かし、しかも別々の動きをするので、右脳と左脳の両方を活性化させるといいます。
また、右脳と左脳の間には、神経線維が2億本ほどつまった、「脳梁(のうりょう)」とよばれる大きな束がありますが、左右のバランスをよく使うということで、脳梁はより太く育ち、左右の脳の伝達もより円滑になるということです。
脳梁の発達のためにも、ピアノはとても効果的ということになります。
楽器の演奏で運動に関わる部位などが発達する
また、米バーモンド大学の研究では、楽器を練習した子供ほど、運動機能や集中力、注意力などに関する脳の部位が発達していることがわかったそうです。
その研究とは、楽器演奏と脳の発達の関係性を調べるために調査を行なったものでした。
楽器演奏の教育を受けた経験のある6歳から18歳までの健康的な子ども232人の脳をMRIでスキャンしたものを解析し、脳の発育の状況を調べてみたのです。
結果わかったのは、脳の運動野(運動機能をつかさどる部位)が活性化すること。
楽器演奏では手指を細かく動かしたり、異なる動作を同時に行なったりすることが求められるため、運動に関わる脳の部位が発達するのだといいます。
また、行動を制御する脳の領域にも変化が見られたのだそう。
具体的には、ワーキングメモリー(作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)や注意力、将来の計画力などに関与する脳の皮質が厚くなっていることが明らかになりました。
ピアノの練習はHQを向上させる
認知神経科学を研究する澤口俊之教授(武蔵野学院大学)によると、「人というのは、夢を持ち、その夢を叶えるべく努力して成功し、幸せな人生を送りたい(あくまでも主観的な成功)・・・、誰もがそう願うものですね。そして、そういう人生を送るためには、IQ(一般的知能)よりもHQ(人間性知能)という知能が重要と証明されているのですが、さまざまな習いごとや余暇の過ごし方のなかでも、すべての実験においてダントツにHQが向上するという結果が出しているのがピアノの稽古なんです。」と言っています。
HQ(人間指数=目的、夢に向かって社会の中で協調的に生きるための脳力)とは、ワーキングメモリ、一般知能、セルフコントロール、注意力、問題解決能力など、さまざまな要素を含んでいるそうです。
簡単にいうと・・・、
”人間らしい人生を送るための脳力”ということで、
夢や目的に向かって適切に行動する能力”未来志向的行動力”と、理性・思いやり・協調性を身につけてうまく生きる能力”社会関係力”です。
つまり、HQの向上は、夢の実現や社会的成功、良好な恋愛や結婚生活、さらには運動能力や器用さ、言語能力、IQの向上にまでもつながるそうです。
塾に通ったり、スポーツや習字、英会話を習っている子どもに比べて、ピアノを習っている子どものHQは高いそうです。
その理由として、「左右で微妙に違う動きができること」と「譜面を先読みして覚えて後追いしながら弾くこと」だと推測しています。
ピアノの学習は、主体的に生きていくのに必要な能力が育つ
ピアノの練習によって、脳が活性化され、目的達成のために主体的に生きていくのに必要な能力が育つということです。
そして澤口教授によると、ピアノを続けていると、自然にすべての脳機能を高めてしまうとのこと。
ピアノを弾く、ということは実生活でも有利なようです。
大人になってから習うのももちろんオッケーですが、やはりHQ向上となると、小さいうちから始めたいもの。
コツコツとした練習は必要ですが、その後に得られる素晴らしい人間としてのスキルは一生ものです。
楽しく音楽を学ぼう。
音楽は、知性や教養だけでなく、”その人本来の美しさ”を輝かせます。