親がピアノ未経験でも大丈夫?子どもの上達と“親の関わり方”
ピアノを習わせている親御さんの中には、
「自分が経験者だから子どもに有利だろう」
「未経験だからサポートできなくて不安…」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
実はわたし自身、母はピアノ未経験者でした。
練習方法を知らない母は、いつも先生に相談し、
そこで聞いたことをそのままわたしに伝えてくれました。
そのおかげで、母と先生の言葉がズレることはなく、
わたしは安心してレッスンに向き合うことができたのです。
ここで誤解してほしくないのは、
未経験の親御さんが「何も言わない方がいい」というわけではないということです。
大事なのは、専門的な指導ではなく、子どものそばで「伴走する姿勢」。
その関わり方こそが、子どもを長く伸ばしていく力になるのです。
一方で、音楽教室などのグループレッスンでは
「親が経験者かどうか」で差が出るように見えることがあります。
経験者の親の子は一時的に伸びやすいのも事実です。
ですが、ピアノは短距離走ではなくマラソン。
長期的に見れば、経験者・未経験者それぞれに
メリットとデメリットがあるのです。
今回は「親がピアノ経験者か未経験者かで、子どもは伸びるのか?」
というテーマで考えていきたいと思います。
親が経験者だと、どんな影響がある?
メリット
1. 技術的なアドバイスができる
親が自分自身でピアノを学んだ経験があると、
子どもがつまずいたときに「ここは指番号を工夫するといいよ」
「リズムは手を叩いて確認してみよう」といった
実践的なアドバイスをしやすいです。
ちょっとしたヒントでも子どもにとっては助けになることがあり、
家庭学習の効率が上がるという強みがあります。
2. 成長の道筋を理解している
「最初の数年は譜読みで苦労するのが普通」
「この時期はまだ手が小さいから仕方ない」といった、
学びのプロセスを知っているのも大きな安心材料です。
子どもの“今の段階”を理解し、
長期的に見守れることは大きなメリットです。
3. 練習習慣をつけやすい
「毎日少しでもピアノに触れることが大事」
ということを実体験として知っているので、
自然と練習の習慣をつくりやすいです。
子どもがサボりそうになったときに、
声かけや工夫で軌道修正できるのも強みといえます。
デメリット
1. 口出しが多くなりがち
知識がある分、「そこ違うよ」「もっとこう弾きなさい」と、
つい細かく指摘してしまいがちです。
結果として、レッスンでも家でも“先生が2人”状態になり、
子どもは混乱してしまうことがあります。
2. 自分の経験を押しつけてしまう
「自分は小さいころ毎日1時間練習した」
「この曲はこう弾くもの」というように、
自分のやり方や解釈をそのまま子どもに求めてしまうことがあります。
しかし子どもにはその子なりのペースや感性があるため、
押しつけられると“やらされ感”が強まり、
ピアノが嫌いになってしまうこともあります。
3. 比較や期待が強すぎる
「自分より早く弾けるようになってほしい」
「あの子よりも上手に」など、
つい比較や期待をかけすぎる傾向もあります。
一時的には子どもの上達を促すこともありますが、
長期的にはプレッシャーとなり、
本人のやる気を奪ってしまうことがあります。
未経験の親だからこその強みと迷い
メリット
1. 先生の方針とズレにくい
親御さんがピアノを習ったことがない分、
「うちではこう弾きなさい」という
“別ルール”が生まれにくいのが安心ポイントです。
先生から教わったことがそのまま家に届きやすく、
子どもも混乱せずに練習できます。
2. 子どもの主体性が守られやすい
細かい弾き方を口出しできない分、
子どもが自分で考えながら進める余白が残ります。
わたし自身も、母から「もっと練習しなきゃ」と言われつつも、
心の中で「お母さん、ピアノやったことないじゃん」と軽くつっこむことができました。
これは反抗期のような反発ではなく、
親の言葉と自分の気持ちのあいだに“少し距離を置く”感覚。
こうした余白があったからこそ、
プレッシャーに押しつぶされず、
長くピアノを続けられたのだと思います。
3. 「音楽を楽しむ」姿勢を共有しやすい
技術的にあれこれ言わないぶん、
素直に「この曲きれいだね」「今日ここまで弾けたね」と、
音楽そのものを楽しむ会話が生まれやすいです。
できた・できないだけでなく、
音楽を“味わう時間”を一緒に過ごせるのは大きなメリットです。
デメリット
1. 練習の量や結果だけで判断しがち
「今日は何分練習した?」「最後まで通せた?」と、
どうしても分かりやすい“量”や“結果”に目が向きやすくなります。
そんなときは、先生に「お家でのチェックポイント」を
具体的に聞いておくと安心です。
(例:今日は“左手を小さく”がテーマ → 家でもその言葉だけ伝える、など)
2. 子どもがつまずいたときに声かけが難しい
「なんでできないの?」と責める言葉になってしまうことも。
そんなときは「どの部分で止まった?」
「ここだけゆっくりにしようか」と、
子どものペースに合わせる声かけが助けになります。
“3回中1回できたらOK”など、
ハードルを下げてあげるのも効果的です。
3. 成長の見通しがわからず不安になりやすい
「いつになったら上手になるの?」「このままで大丈夫?」と
不安になることも少なくありません。
でも実は、ピアノには“伸び悩む時期”や“手の大きさの壁”など、
避けられない段階があるんです。
先生に「今はどの段階ですか?」
「次はどんな成長が待ってますか?」と聞いておくと、
安心して見守れると思います。
親が未経験でも、子どもの力を伸ばすことは十分にできます。
大切なのは「正しい弾き方を教えること」ではなく、
そばで伴走する気持ちです。
「今日ここまでできたね」「この曲きれいだね」と、
シンプルな言葉を添えるだけでも、
子どもにとって大きな支えになります。
ピアノは、コツコツ積み重ねが花を咲かせる世界(長期的にみるとどうなる?)
ピアノは、コツコツ積み重ねが花を咲かせる世界。
大切なのは、最初の速さではなく、
どれだけ長く続けていけるかという歩みそのものです。
経験者の親の子は、最初の数年はぐんぐん伸びることが多いです。
譜読みのサポートや技術的なアドバイスがある分、
グループレッスンでも目立ちやすく、
「やっぱり経験者の親は強いな」と感じられることもあるでしょう。
でも、その反面、口出しや期待が大きくなりすぎてしまうと
「やらされ感」が強まり、ある時期からピタッとやる気をなくしてしまうこともあります。
一方で、未経験の親の子は、必ずしも出だしが遅いわけではありません。
先生の指導をそのまま吸収できるので、
むしろ最初からぐんぐん伸びる子もいます。
ただ、親が技術的に口出しできない分、
子ども自身が自分のペースで考え、
工夫する力を育てやすいのが大きな特徴です。
その結果、のびのびと音楽を楽しみながら長く続け、
気づけば安定して力をつけていく・・・そんなケースも少なくありません。
つまり、長期的に見たときに大切なのは、
親が経験者かどうかではなく、どう関わるか。
「教える」よりも「伴走する」スタンスを持つことこそ、
子どもを伸ばす最大の力になります。
子どもを伸ばす親の関わり方、いちばん大切なのは
子どもがピアノを長く、のびのびと続けていくために・・・
親ができることは意外とシンプルです。
1. 親ができるのは「伴走」
子どもの隣を同じスピードで走るランナーのように、
「がんばってるね」「ここまできたね」と声をかけながら寄り添うこと。
専門的に直すよりも、「見てるよ」「応援してるよ」
という存在そのものが、子どもにとって安心につながります。
2. 「教える」ではなく「見守る」
「もっとこう弾きなさい」と細かく指導するよりも、
子どもが自分で試行錯誤するのを見守ることが大切です。
できたら一緒に喜び、つまずいたら
「どうやったらうまくいくかな?」と問いかける。
子どもが自分で考えた工夫こそ、成長のエネルギーになります。
3. 経験の有無を気にするより、“やりたい”を支える
親が経験者か未経験者かは、本当の決定打ではありません。
それよりも大切なのは、子どもの「やりたい」「弾きたい」という気持ちをどう支えるか。
「この曲すてきだね」「今日ここまで弾けたね」と
シンプルな言葉をかけるだけで、子どもの心には大きなエネルギーが生まれます。
ピアノは、続ける力がじわじわ効いてくる学びです。
大事なのは、親が経験者かどうかではありません。
そばで伴走してくれる安心感と、
「自分でやりたい」という気持ちを応援してくれる空気。
それこそが、子どもの音楽人生を豊かに育てていくのです。
🎵ピアノが上達する子の特徴5つ。小さな”できた”が未来の音につながる
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親の経験よりも「関わり方」や「小さな成功体験」。
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まとめ
親がピアノ経験者でも、未経験者でも・・・
それぞれにメリットとデメリットがあります。
経験者なら、技術的なサポートができる反面、
口出しや期待が強くなりすぎることもあります。
未経験者なら、先生と足並みをそろえやすい反面、
練習の見守り方に悩むこともあります。
けれども最終的に子どもを伸ばすのは、
経験の有無ではなく「どんなふうに関わるか」。
子どもの主体性を尊重し、安心して挑戦できる環境をつくってあげることが、
何よりの力になります。
ピアノは短距離走ではなくマラソンです。
長く続けられることこそが、上達につながり、
そして「音楽を楽しむ心」を育てます。
経験者であっても、未経験者であっても・・・
子どもがのびのびと続けられる環境を整えることこそ、
親からの最大のギフトなのです。
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