「辞めたい」と言われたピアノ講師さんへ。
ピアノ講師を続けていると、避けて通れない言葉があります。
「辞めたいです」「いったんお休みします」。
わたしは講師として約25年。
これまで何度も、この言葉を受け取ってきました。
そのたびに胸の奥が、きゅっとなる。
毎回同じではないけれど、生徒との思い出が頭の中をかけめぐって、落ち着かなくなる。
退会をゼロにすることはできません。
でも、退会が来るたびに講師が背負いすぎてしまう流れは、変えられます。
この記事では、ピアノ講師が直面する
「退会連絡」「辞めたい」の場面で、
心が削れすぎないための“受け止め方”を整理します。
引き止め方のテクニックではなく、講師自身の心を守るための視点です。
1. まず結論。退会は「失敗」ではありません
ピアノは積み上げの世界です。
続ければ続けるほど、身体も耳も育つ。
だから講師としては、つい「続けてほしい」と思います。
それ自体は自然なことです。
ただ、ここで一つだけ。
「続けること=正解」と決めつけてしまうと、
講師も生徒も苦しくなります。
正解が一つだと安心できる反面、
そこから外れた瞬間に「失敗」や「罪悪感」が生まれてしまうからです。
音楽との関わり方は、人それぞれ。
ずっと続ける人もいれば、人生のある時期だけ触れて、十分に豊かになる人もいる。
一時的でも「音楽に触れられた」こと自体に意味がある、という選択もあります。
退会が来たときに、まずここを押さえておくと、講師の心は少し落ち着きます。
退会=失敗、ではありません。
2. しんどさの正体は「できごと」より“意味づけ”
「辞めたい」と言われたとき、しんどいのはできごとそのものより、
こちらの中に立ち上がる“意味”のことが多いです。
たとえば、こんな反応。
* わたしの教え方が悪かったのかな
* 何か気に障ることを言った?
* わたしの価値がないってこと?
* 他の先生のほうがよかったのかも
ここで起きているのは、反省というより、“自分の価値の話”にすり替わる動きです。
(反省は「次に活かす」方向へ進みますが、価値の話になると「自分を責める」方向へ沈みやすい。)
だから大事なのは、これです。
*解釈を“事実”から切り離す。
事実は、たとえばこうです。
* 退会の申し出があった
* 家庭の都合が変わった
* 本人の気持ちが変わった
ここに「わたしはダメだ」が乗ると、一気に苦しくなります。
まずは事実の場所に戻る。これだけでも反芻の深さが変わります。
3. 反すう(ぐるぐる思考)が始まったら、まず“事実に戻る”
退会連絡って、レッスン中よりも、終わったあとに効いてきます。
夜、ふとした瞬間に思い出して、頭の中で反省会が始まる。ここで消耗する講師は多いです。
そんなときは、長い対処をしようとせずに、まず“止める”ことだけ。
深呼吸を3回して、事実を1行だけ置く。
たとえば、こんな一文です。
「退会はゼロにできない。わたしは丁寧に対応した。」
これだけでも、反すうの勢いは少し落ちます。
(ここから先の「不安を事実に戻す」整え方は、保存版としてnoteにまとめています。)
4. 引き止める前に大事なこと。整ってから話す
「続けてほしい」と思う気持ちは、講師として自然なものです。
ただ、心が揺れたまま会話に入ると、必要以上に疲れてしまうことがあります。
だからこそ、引き止めるかどうかを考える前に、まず一呼吸。
整ってから話す。
これだけで言葉の選び方が変わり、終わり方も変わります。
引き止める/手放すの判断軸や、
会話の組み立て方は、深掘り版で詳しく扱います。
まとめ。背負いすぎない「受け止め方」は、つくれる
退会をゼロにすることはできません。
でも、退会が来るたびに講師が背負いすぎてしまう流れは、変えられます。
この記事が伝えたいのは、たったひとつ。
「辞めたい」の一言を、自分の価値にしないこと。
そのために、まずは“事実に戻る”という小さな整え方から始めてみてください。
深掘り版(note有料記事)のご案内
ここまで読んで、「自分は毎回ここで消耗しているかもしれない」と感じた方へ。
noteでは、講師が壊れずにこの仕事を続けていくための“保存版”として、
もう少し深いところまで整理しました。
深掘り版では、たとえばこんなことを扱っています。
* 引き止める/手放すの判断軸(迷うときの整理)
* 引き止めが解決になりにくい場面の見極め
* 反芻を短時間で閉じる整え方(手順と例)
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必要な人に届きますように。
