クラシック音楽のジャンルについてー文学的性格を持つ曲種ー

こんにちは。
ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。

 

今日は、クラシック音楽のジャンルについての3回目。
前回の記事はこちらになります。

 

 

クラシック音楽の題名には、ノクターンやプレリュードなどのいわゆる”ジャンル”が題名になっているものがたくさんありますが、それぞれの持つ意味がわかるとよりクラシック音楽に深く関われるようになります。

 

今回は、バラード、ノヴェレッテ、ラプソディ、無言歌、エレジー、ソネットといった文学的性格を持つジャンルをご紹介したいと思います。

 

バラード

「譚詩(たんし)」と訳されます。

 

中世では吟遊詩人に歌われた物語的な歌を指しましたが、それをピアノ曲に用いたのはショパンでした。

 

基本となる物語の進行に合わせて音楽が進むので、多種多様な楽想が展開される。
形式は型がなく自由な楽想が活かされていて、夢のような美しい楽想から激しい情感をともなう終焉へと向かう劇的な特徴があげられる。

 

また悲劇的に終わる傾向が強く、ハッピーを感じさせるような終わりのバラードは少ないようです。
ショパンの「バラード」が代表的な曲で、4曲のバラードのうち、第3番のみハッピーエンドとなっています。

 

バラードの代表曲

  • ショパン バラード集
  • リスト バラード1番・バラード2番
  • ブラームス 4つのバラードOp.10
  • グリーグ ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード
  • フォーレ バラード Op.19

 

ノヴェレッテ

「小さい短編小説」という意味。

ロマンチックなピアノ曲につけられた名称。

 

バラードよりも規模は小さく、淡い曲想のものを指します。

 

シューマンの8つのノヴェレッテが有名です。

 

ラプソディー

狂詩曲と訳されます。

 

自由な形式で、民族的、叙情的な内容を表現している。

 

また、「つなぎ合わせる」という意味も持っていて、緩やかな部分と速い部分がつながったり、もともとのメロディを引用したりすることが多いのが特徴です。

 

ラプソディーの代表曲

  • リスト ハンガリー狂詩曲、スペイン狂詩曲
  • ブラームス 2つのラプソディ
  • シャブリエ 狂詩曲「スペイン」
  • ドヴォルザーク スラヴ狂詩曲
  • ドビュッシー リストの様式による狂詩曲、サクソフォーンと管弦楽のための狂詩曲
  • ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
  • ラヴェル スペイン狂詩曲
  • ガーシュイン ラプソディ・イン・ブルー

 

無言歌

「ことばのない歌」という意味で、器楽曲、おもにピアノ独奏用に用いられる。

 

歌曲形式で作られることが多いのは当然で、歌うような旋律と情景描写を持つのが特徴。

 

メンデルスゾーンが最初に用い、生涯にわたって作曲。
それらは、「無言歌集」全8巻(48曲)として出版されました。

 

無言歌の代表曲

  • チャイコフスキー 12の小品 Op.40 NO.6
  • フォーレ 3つの無言歌  Op.17
  • ホルスト 2つの無言歌(管弦楽曲)
  • シェーンベルク セレナーデ(室内楽曲)第6楽章
  • ホルスト 吹奏楽のための第2組曲 第2曲「無言歌」

 

エレジー

悲しみを訴えるような曲想を持つゆっくりめの速度の曲。

 

日本語では、悲歌、哀歌、挽歌と訳される。
また幻想曲ふうの特徴も持っている。

 

エレジーの代表曲

  • メンデルスゾーン 「無言歌集」第7集第4曲《エレジー》
  • グリーグ 「抒情小品集 第2集」第6曲 《エレジー》
  • リスト 「エレジー第1番」「エレジー第2番」
  • エリック・サティ 「3つの歌」第2曲《エレジー》
  • バルトーク 「2つのエレジー」
  • サン=サーンス「エレジー」Op.143
  • ショスタコーヴィッチ 「2つの小品」《エレジー》

 

ソネット

13世紀頃イタリアでつくられた、14行からなる詩のこと。

 

「詩曲」と訳される。

 

詩的な内容を持った小品で、もともとは「小さな歌」という意味。

 

イタリア風ソネットやイギリス風ソネット、スペンサー風ソネットなどがあります。

 

ソネット作家で有名なのは、ウィリアム・シェイクスピアといわれています。

 

ヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲集《四季》」は、4つの協奏曲すべてにソネットがついています。
ご紹介したいと思います。

 

ヴィヴァルディ《四季》の「春」よりソネット

第1楽章

A 春がやってきた。楽しげに

B 小鳥は幸せに満ちた歌を歌い、喜んで春を迎える

C 泉はそよ風に誘われて
甘いせせらぎの音をたてる。そのうちに

D 空は黒雲に包まれ、稲妻がとどろき
雷鳴が春の到来を告げる

E やがて嵐は去り、小鳥が再び
喜びの歌声をあげる

第2楽章

F 花が咲きほこる牧場では
木の葉がやさしいざわめきを子守歌に
羊飼いが犬をわきにはべらせ、まどろんでいる

第3楽章

G 妖精も牧童達も
すばらしく晴れわたった春の陽射しの中で
バグパイプに合わせて踊りだす

(アルファベットはセクション名)

 

詩に忠実に音楽がつけられているので、四季折々の情緒を音楽から体験することができますね。

 

以上が文学的性格を持つジャンルでした。
次回は、情景を描いたジャンルをご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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