ソナチネとは何?

ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の実績を持つわたしが、今日は「ソナチネ」について書いてみたいと思います。

 

 

「ソナチネ」とは?

ピアノをある程度習ったことのある方なら、「ソナチネ」ってどんな作品かとご存知の方もいらっしゃると思いますが、あらためてソナチネって何?からお話ししてみたいと思います。

 

現在、ソナチネを練習中の方はもちろん、
レッスンをされている先生方にも参考になれば幸いです。

 

「ソナタ」や「ソナチネ」という言葉

まずは、言葉の意味からみてみたいと思います。

「ソナタ」や「ソナチネ」は、クラシック音楽の中の音楽の様式、ジャンルをあらわす言葉。

クラシック音楽の中で、ジャンル分けをすると、「ソナタ」や「ソナチネ」という名前のジャンルがある、ということですね。

 

 

「ソナチネ」とは何か?

子供の頃にピアノを習ったことのある方はご存じの方も多いと思いますが、
ピアノを学習したことがない方は、ソナチネって何だろう?って疑問に思ったことと思います。

「ソナチネ」とは、”小さなソナタ”という意味で、ソナタの規模の小さいバージョンです。

「sonata」に小さいという意味の「ine」つけて「sonatine」といいます。

 

 

ソナタって何?

では、「ソナタ」はいったい何なの?と思った方もいらっしゃると思うので、少しご説明したいと思います。

一般的に、「ソナタ」とは古典派やロマン派の時代に作曲されたものを指します。
バロック時代に作曲されたものは「教会ソナタ」「室内ソナタ」といわれています。

ここでは、古典派やロマン派時代の「ソナタ」について書いていきたいと思います。

古典派やロマン派時代のソナタには、構成(型)がある程度決まっています。

・第1楽章:
テンポの速いソナタ形式で書かれていることが多い。
・第2楽章:
緩やかで抒情的な2部形式、3部形式で書かれていることが多い。
・第3楽章:
やや速度の速いメヌエットやスケルツォが使われることがありますが、
この楽章が最終楽章となる場合は、ロンド形式で書かれることが多い。
・第4楽章:
速いテンポのロンド形式で書かれることが多い。

ざっくりですが、以上の内容からソナタは、第1楽章が「ソナタ形式」で書かれていることが前提となります。

ソナタは曲の長さが長いものが多く、ソナチネはそれを縮小した規模で書かれています。
形式に関しては、同じようなかたちになっています。

一般的にソナタは独奏曲(ソロ)として作られています。

ピアノのために書かれたソナタは、「ピアノソナタ」、ヴァイオリンのために書かれたソナタは「ヴァイオリンソナタ」といいます。

その他、管楽器が弦楽器などの独奏のために作られたソナタもそれぞれの楽器名がソナタの前につきます。(チェロソナタ、クラリネットソナタなど)

これが、オーケストラなどの大編成で書かれたソナタになると、それは「交響曲」と呼ばれます。

上に書いた「〇〇ソナタ」や交響曲はいずれも、第一楽章が「ソナタ形式」で書かれていることが前提となります。

では、「ソナタ形式」とは何?と疑問に思いますよね。

次にソナタ形式で書かれた楽曲の構造をみていきたいと思います。
以下のようになっています。

 

提示部:序奏が入り(ない場合もある)主題が始まる。
第1主題と第2主題という互いに対比されるふたつの主題が提示されます。
主題は何度も繰り返されることがあります。

展開部:提示部で提示された主題をいろいろなかたちで変奏、展開させていきます。
転調することが多い。緊張感をともない、再現部へと向かっていきます。

再現部:提示部で提示された主題が再び登場。
ここでは、提示部を少し変化させたかたちで登場します。
第1主題、第2主題が再現されますが、対比が解消されていく部分になります。

コーダ:大規模なソナタ形式には終止のための結尾部(コーダ)がつくことがあります。
音楽の最終局面に入っていき、終止する部分です。

提示部の第1主題と第2主題が互いに対比されるとはどういうことかというと、第1主題と第2主題の調性が変わり(長調なら属調へ、短調なら平行調へ)それが対比というかたちであらわれます。

再現部では第1主題、第2主題が再現されますが、ここではその対比が解消されていくプロセスとなります。
第1主題が長調の場合、再現部の第2主題は同じ調となり、第1主題が短調の場合は、再現部の第2主題は第1主題の同主調(ハ長調ならハ短調)となることが多い。

つまりソナタ形式とは、ふたつの異なるものが最終的に融合され、「対立から融合へ」と流れる形式だと捉えることができます。

 

 

ソナチネを学ぶ目的

ソナチネには芸術的側面もありますが、ソナチネアルバムに収録されているクレメンティやクーラウの作曲したものは、教育的要素があり技術面、表現なども同時に学ぶことができるのです。

「ソナチネ」は「ソナタ」の小規模版のような感じですので、2楽章から3楽章でつくられています。

第1楽章はソナタ同様、「ソナタ形式」になっているので、音楽の構造を分析して演奏することを身につけることも目的のひとつとなっています。
またソナチネは、ブルクミュラー25の練習曲の後半(20番を過ぎたあたり)から併用していくといいのではないでしょうか。

ブルクミュラーもとても表現方法の難しい曲ばかりですが、かなり小規模な構成となっているので、音楽のスケールを考えるともうすぐブルクミュラー25が終わる、といったあたりから学んでみるといいかもしれません。

 

 

まとめ

今回は「ソナチネ」についてと、「ソナタ形式」について書いてみました。

音楽理論や楽式論というと、ちょっと固いイメージだし、”趣味でやっているのにそんなの必要ないわ”と思ってしまうかもしれませんが、楽曲を知ることで音楽の深みが理解でき、作曲家の意図や曲の背景もわかることで、より楽曲に親しむことができたり、楽しく学べたりするのです。

”ちょこっと知識”として知っておくと、便利な知識なのではないかな・・・と思います。

 

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