がんばっているのに、なぜか前に進まないとき
毎日ちゃんと練習している。
回数も時間も、決して少なくない。
それなのに、
「前に進んでいる感じがしない」
「なぜか手応えが残らない」
そんな感覚を抱えたまま、
ピアノに向かっていませんか。
この状態、
努力が足りないからでも、
才能がないからでもありません。
多くの場合、
練習の中で、ほんの少し“向き”がズレているだけです。
ピアノが「滞る」とき、何が起きているのか
以前、
ピアノが滞るときに練習の中で起きていることを
整理した記事を書きました。

そこでお伝えしたのは、
滞りは失敗ではなく、
音楽が次の段階に進もうとするときに起きやすいサインだということ。
今回の記事では、
その中でも特に多い、
「がんばっている人ほど陥りやすいズレ」に焦点を当てます。
弾いているのに、音楽が遠くなる練習
前に進まないと感じているとき、
練習はだいたい、こんな状態になっています。
- とにかく止まらず最後まで弾く
- ミスを減らすことが最優先になる
- 「ちゃんとやっているか」を気にし続けている
指は動いている。
音も出ている。
でも、
音をどう聴いたか、何を感じたかが残らない。
このとき、
練習の焦点は少しずつ
「音楽」から離れています。
「正しい練習」が、苦しさに変わる瞬間
よくあるのが、
- ミスを直すことがゴールになる
- 評価される演奏を目指し続ける
- 注意されないように弾こうとする
といった状態。
どれも、
本来は悪いことではありません。
むしろ、
真面目で、向上心がある人ほど
自然にやってしまうことです。
でも、この状態が続くと、
音楽は少しずつ
「作業」や「修正」に変わっていきます。
すると、
- 響きを味わう余白が消える
- 自分の音が、よくわからなくなる
- 弾いているのに、疲れだけが残る
そんな感覚が出てきます。
「わかった」と言いながら、置いていかれる感覚
レッスンでも、
大人のピアノでも、
とても多いのがこの状態です。
説明は理解できる。
言われていることも、頭ではわかる。
でも、実際に弾くと変わらない。
これは、理解力の問題ではありません。
多くの場合、
「わからない」と言えなくなっているだけです。
- 何度も聞くのは申し訳ない
- できない自分を見せたくない
- ついていけていないと思われたくない
そうして、
返事だけが先に進んでしまう。
でも本当は、
わからないところこそが、音楽が深まる入口です。
前に進まないのは、ダメなサインじゃない
ここまで当てはまったとしても、
落ち込む必要はありません。
むしろ逆で、それは、
音楽が、
「このままじゃなくていいよ」と
合図を出している状態です。
評価や正解の方向に
少し寄りすぎているから、
一度立ち止まらせている。
ピアノが滞るのは、
音楽との距離が離れたからではなく、
もう一度、ちゃんと向き合おうとしている証拠
でもあります。
ここから先の話について
ここまで読んで、
「これ、自分の練習かもしれない」と感じた方へ。
この先、
ではどう整えていけばいいのか。
どうすれば、
がんばりすぎずに前に進めるのか。
その具体的な方法については、
別の記事でまとめています。
単なる考え方ではなく、
- 止まっていい練習のつくり方
- 正解より違和感を扱う方法
- 音楽を“自分のもの”に戻す視点
- 練習後にできる小さな整え
といったことを、
実際の練習に落とし込める形で書きました。
▶︎ ピアノ練習がうまくいかないのは、考えすぎが原因かもしれない。

さいごに
前に進まないと感じるとき、
わたしたちはつい
「もっとがんばらなきゃ」と思ってしまいます。
でも、必要なのは
がんばる量を増やすことではなく、
向きを少し戻すことかもしれません。
音楽は、ちゃんと自分の感覚に戻れるようにできています。
そのことを、
思い出すきっかけになればうれしいです。
