クラシック音楽のジャンルについてー情感的性格を持つ曲種ー

こんにちは。
ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。

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今日は、クラシック音楽のジャンルについての2回目。

 

即興的性格を持つジャンルについてお話ししました。
前回の記事はこちらになります。

 

 

クラシック音楽の題名には、ノクターンやプレリュードなどのいわゆる”ジャンル”が題名になっているものがたくさんありますが、それぞれの持つ意味がわかるとよりクラシック音楽に深く関われるようになります。

 

今回は、スケルツォ・カプリッチョ・ユーモレスク・ノクターン・ロマンス・間奏曲という情感的性格を持つジャンルをご紹介したいと思います。

 

スケルツォ

 

イタリア語で「冗談」という意味。

 

諧謔(かいぎゃく)曲とも訳されます。
もともとユーモアを兼ね備えた作品という意味で使われています。

 

「冗談を言う」「ふざける」という意味をもった「scherzare」という動詞の現在分詞、scherzando(スケルツァンド)は、
冗談めかしく、おどけてという意味で楽譜に発想記号として用いられることもあります。

 

ハイドンがメヌエットの代わりに、メヌエットをコミカルにした曲としてスケルツォを取り入れたのが始まりです。

 

その後、ハイドンの弟子であったベートーヴェンが自身のソナタや交響曲の中で多く取り入れました。
初期は3拍子、3部形式で速度が速い曲として作曲されました。

 

ロマン派に入ると、ショパンが独立した曲種として作曲し、強弱の突然の変化などを含め、緊張感あふれる内容になっていきました。

 

スケルツォの代表曲

  • J.S.バッハ:6つのパルティータ第3番 イ短調 BWV827より第6番 スケルツォ
  • メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 作品20第3楽章 スケルツォ
  • ショパン:スケルツォ第2番 変ロ長調 作品31
  • マーラー:交響曲第5番 第3楽章 スケルツォ

 

 

カプリッチョ

イタリア語で、「気まぐれ」という意味。

 

奇想曲、狂想曲とも訳されます。
フーガ的性格を持ちながらも比較的自由な形式を持つのに使われました。
ロマン派に入ると、ユーモラスな表情や気まぐれな性格をもつ小曲のタイトルに使われました。

 

カプリッチョの代表曲

  • J.S.バッハ:カプリッチョ『最愛の兄の旅立ちに寄せて』BWV992
  • ベートーヴェン:カプリッチョ「なくした小銭への怒り」作品129
  • パガニーニ:24のカプリス作品1 第5番 イ短調
  • ブラームス:8つの小品 作品76 第2番 カプリッチョ
  • ラフマニノフ:ボヘミア奇想曲 作品12

 

ユーモレスク

「ユーモレスク」という言葉は、フランス語。
ドイツ語では、「フモレスケ」とよばれます。

 

ユーモアにあふれた曲という意味で、19世紀の器楽曲の名称です。

 

形式としては比較的小規模なものが多いです。
「奇想曲」と同義語で使われることがあります。

 

ユーモレスクの代表曲

  • ドヴォルザーク:8つのユーモレスク作品101(第7番が有名です)
  • シューマン:フモレスケ

 

 

ノクターン

「夜想曲」と訳されます。

 

ラテン語の『ノクトゥルヌ』という言葉からきたフランス語で、「夜の」という意味です。

 

アイルランド生まれのジョン・フィールドが、夜に愛する人のことを想って奏する穏やかな曲想の曲を作ったことが始まりとのこと。

 

産業革命の時代に、ピアノの製造がさかんになり、新型のピアノの良さを活かす作品として、このような静かな作風で長いメロディを取り込んだノクターンを作曲したといわれています。

 

その後、ショパンがその影響を受け、ノクターンを21曲書きました。

 

夜に一人もの想いにふけりたい時に聴きたい音楽です。

 

ノクターンの代表曲

  • ショパン:ノクターン 変ホ長調 作品9−2
  • リスト:愛の夢(ノクターン)第3番 変イ長調
  • ドビュッシー:ノクチュルヌ
  • フォーレ:ノクターン 第1番 変ホ短調 作品33
  • スクリャービン:左手のためのノクターン 作品9−2
  • プーランク:ノクターン 第1番 ハ長調

 

ロマンス

ロマンチックな小品という意味。

 

抒情的な旋律美が特徴で、18世紀にイタリア語経由で音楽用語に取り入れられました。

 

「ロマン」という言葉を文学的と解釈すると物語性が含まれ、ファンタジック的に解釈すると愛情をあらわす曲という意味が含まれる。

 

ロマンスの代表曲

  • ベートーヴェン:ロマンス第1番、第2番(ヴァイオリンとオーケストラ)
  • モーツァルト:『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』第2楽章
  • シューマン:オーボエとピアノのための3つのロマンス
  • ドヴォルザーク:ロマンス(ヴァイオリンとオーケストラ)
  • グリーグ:ピアノ協奏曲 第2楽章
  • ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 第2楽章

 

間奏曲

ドイツ語で「Intermezzo(インテルメッツォ)」という。
本来は主要な曲や楽章をつなぐ、中休みの意味を持つ小品。

 

また劇やオペラの幕間に奏される前奏曲として使われます。

 

中休み的に使われている曲は、マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲です。
物語が盛り上がったところで、心を静めるかのように間奏曲が流れます。

 

幕間に使われている曲は、ビゼーの『カルメン』。
幕間休憩の後、次の幕の開く直前に演奏される。

 

独奏曲としてつかわれた代表曲

  • シューマン:6つの間奏曲 作品4
  • ブラームス:3つの間奏曲 作品117

 

以上が情感的性格を持つジャンルでした。

次回は文学的性格を持つジャンルをご紹介したいと思います。

 

 

 

 

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