クーラウ作曲 3つのソナチネ Op.20-3

ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。

 

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YouTube動画にて、「クーラウ作曲 3つのソナチネOp.20-3」を演奏しています。

 

 

全音出版社の「ソナチネアルバム第1巻」より、第3番。

 

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この教本に収録されている曲の中では、難易度の高い方になります。

 

2年ほど前から少しずつ動画にしてきました。

 

ソナチネアルバム第1巻の中でクレメンティは前回終了し、クーラウは今回が最後になります。
このあと、第2巻へ進んでいこうと思います。

 

クーラウソナチネOp.20-2同様、練習に時間がかかってしまいました。その分しっかりと弾きこなせた感もあるので、ぜひ聴いていただけるとうれしいです。

 

こちらの楽曲分析は、今日の記事の下の方に書いています。
目次を設定しましたので、よかったら読んでみてくださいませ。

 

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全音出版社「ソナチネアルバム第1巻」難易度順は?

 

まずは、全音出版社の「ソナチネアルバム第1巻」の収録曲を難易度順に並べ替えてみました。
楽章ごとバラバラにすると順番は変わりますが、私はざっくり作品番号でまとめて並べています。
あくまでも私の感じるところなので、ご了承くださいませ。

 

第7番  クレメンティ ソナチネOp.36−1
第9番  クレメンティ ソナチネOp.36−3
第4番  クーラウ   ソナチネOp.55−1
第8番  クレメンティ ソナチネOp.36−2

第1番  クーラウ   ソナチネOp.20−1
第10番 クレメンティ ソナチネOp36−4
第6番  クーラウ   ソナチネOp.55−3
第12番 クレメンティ ソナチネOp.36−6

第5番  クーラウ   ソナチネOp.55ー2
第11番 クレメンティ ソナチネOp.36−5
第2番  クーラウ   ソナチネOp.20−2
第3番  クーラウ   ソナチネOp.20−3
ドゥセック ソナチネOp.20−1

上記の他に、ロンドやモーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンのソナタなどが収録されていますが、「ソナチネ」というタイトルだけをみて考えてみました。

 

きっと、すべての曲を学習することはあまりないかと思いますが、
もしも順番が気になるようでしたら参考にしていただけるとうれしいです。

 

「ソナチネ」とは何か?

まずは、「ソナチネとは何?」というお話をしておきたいと思います。

 

✧˙⁎⋆「ソナチネとは?」
ソナチネの基本的な知識はもちろんソナチネを学ぶ理由についても書いていますので、お時間ありましたら読んでいただけるとうれしいです。

 

ソナチネとは何?
ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の実績を持つわたしが、今日は「ソナチネ」について書いてみたいと思います。 「ソナチネ」とは? ピアノをある程度習ったことのある方なら、「ソナチネ」ってどんな作品かとご存知の方もいらっしゃると思いますが、あらため...

 

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楽譜から読み取れることを大切に

ソナチネは、8分音符や16分音符のパッセージがかなり多い曲です。
音価(音の長さ)を正確に、ここは練習曲をやっている感覚できれいにパッセージが奏でられるようたくさん練習することが大切です。

 

また、音階や終止形が多く登場します。
ハノンなどで、音階練習や終止形の練習をしておくとスムーズかもしれません。

 

では、本題に入っていきたいと思います。

 

 

クーラウ 3つのソナチネOp.20−3 解説

では、ここからは動画の「クーラウ 3つのソナチネOp.20−3」について書いていこうと思います。

 

第1楽章:へ長調 ソナタ形式

【提示部】
冒頭、へ長調の主和音が高らかに鳴り響き、第1主題が始まる。
スタッカートの音階進行がなめらかに下降、上昇して4小節のフレーズが終わる。
属調の主和音へと移行し、その後へ長調の主和音へと戻っていくが戻った時にはさらにダイナミックな展開になっている。
ここでは調性が明確に提示されている。

 

20小節めからの第2主題。
属調のハ長調へと転調している。
第1主題では、右手メロディ、左手伴奏という役割で流れていたが、ここでは右手と左手が対話をするように音楽が流れていく。

 

27小節めからはコデッタ。
提示部の終わりの部分。右手が交差をしながら高音と低音を行ったり来たりして5つの音が下降していく。
そして、左手から右手へ5つの音の上昇形が橋渡しされ、展開部へと移っていく。

 

【展開部】
展開部冒頭、3連符で流れるような和音進行が経過していき、
41小節めから、変ニ長調へ。

 

第1主題の音型をそのままに、変ロ短調〜へ短調と転調を繰り返し、51小節めから主調であるへ長調の属音「ド」が響きわたり、再現部へと向かっていく。
56小節めから右手のオクターブの分散進行が続き、左手ではいろいろな和音を組み合わせて経過していく。

 

そして、へ長調の終止形のあと再現部へ。

 

【再現部】
いろいろな調性をたどりながら、主調であるへ長調へ戻っていく。

 

第1主題の再現は、2度上のト短調を経過していくがすぐにへ長調へと戻る。第2主題は同じ規模で再現されコーダへと向かう。
95小節めからのコーダは提示部と同様、5つ上の音へ音階進行の掛け合いをしながら第1主題の音型を印象づけるようにくりかえし、最後はカデンツ(終止形)で締めくくる。

 

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ファンファーレのような主題が何度も登場するのが印象的。
華やかに弾きたい部分です。

 

また音階進行が終始、いたるところに出てくるので、なめらかにスラーで演奏するところ、スタッカートで軽やかに演奏するところ、それぞれ個性をもって流れるように演奏しましょう。

 

またへ長調の調性についても注目です。

 

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フラット系の調は、全体的に「柔らかさ」が特徴です。

 

へ長調は、平和・穏やかなイメージで捉えてみるといいと思います。

 

冒頭のファンファーレのような部分も、華やかさの中に穏やかさというイメージも加えてみるとこの曲に合うと思います。

 

 

第2楽章:変ニ長調 複合3部形式

【Aパート】
変ロ長調の和音と用いて、コラール風に始まる主題1a。
9小節めからの主題1bでは、少し変化を加えながら装飾音などを使ってへ長調へ向かっていく。

 

【Bパート】
17小節めから、主題を少し変化させた音型を用いて、音楽を発展させていく。
ここでは、ハ短調〜変ロ長調〜へ長調、ト短調〜変ロ長調とコロコロと調整が変わっていく経過の部分を担っている。

 

【Aパート】
27小節めから再び主題1aへ。
前半の主題1aよりも少しスケールが大きくなっているので、音価の刻みが細かくなっていたり、ノンレガート奏法など工夫する楽しみが加わる。

 

【コーダ】
34小節めからのコーダはよりダイナミックな展開となっている。
主題1bを発展させたかたちを使っているので、主題のもつ性格も考えながら繊細にエンディングへ。

コラールらしく、ハーモニーの美しさを失わないまま、最後は主調の変ロ長調で締めくくる。

 

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合唱風をイメージして、ハーモニーを大切に演奏しましょう。

 

Aパートが再び登場する27小節あたりから音価が細かくなっていくので、動きに惑わされず、きれいに繊細に動けるよう音階の練習を繰り返ししましょう。

 

また、ペダリングもとても難しい曲です。
響きに注目して、濁りがないようペダルの踏みかえにも注意したいところです。

 

 

第3楽章:へ長調 複合三部形式

【Aパート】
8小節の序奏があり、主題1のAパートへ。
行進風を意識して。

 

【Bパート】
17小節めから主題2へ。
音型はあまり変化ありませんが、音の高さが高くなっていくので、高揚感をプラスされた感じで。

 

【Aパート】
31小節めから再び主題1へ。

 

【Cパート】
39小節めから同主調であるへ短調へと転調し、主題3へ。
緊張感高まるところ。
55小節めからは主題4へ。このあたりもまだへ短調のテイストが続きます。

 

【Aパート】
68小節めから再び主題1。
76小節めから主題2。
90小節めから主題1。

 

【コーダ】
99小節めからコーダへ。
主題1の変形が用いられ、113小節めから主題3の変形を経過し、主和音が連続して終わる。

 

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「Alla polacca」と表題がついているので、ポロネーズ風に演奏するといいと思います。

 

ポロネーズとは、ポーランドの民族音楽のこと。
「ポーランド風に」と訳されることが多い。

 

ゆったりとした3拍子の舞曲のこと。

 

あまり焦って演奏することのないよう、細かいパッセージはよく練習しましょう。

 

序奏の駆け上がる感覚は、これからはじまる音楽への”期待”を込めて演奏しましょう。”期待感”をもって。

 

Aパートは落ち着いた感じで演奏するといいと思います。
行進を意識してイメージするといいと思います。

 

Cパート以外は全部、主調のへ長調が展開されていきます。

 

やわらかな印象で、あまり派手になりすぎず繊細に弾きましょう。

 

Cパートでは、一転緊張感が高まります。
ここは、緊迫した印象をつけるために強弱をはっきりとつけて弾きましょう。

 

Aパートに戻る手前の半音階(64小節めから)もきれいに流れるようにAパートに流れていきましょう。

 

あまり固くなり過ぎず、へ長調の性格を十分に考えながら演奏するように心がけたいです。

 

とても速い演奏もありますが、あえて落ち着いた感じで演奏してみました。

 

 

クーラウ ソナチネOp.20−3 演奏ポイントとまとめ

ソナチネアルバムの中では、難易度の高い方に位置する作品20−3ですが、分析を知った上で演奏するととても興味がわいて、演奏していて楽しかったです。

 

楽曲分析は、楽器の演奏において大切な要素となります。

 

曲を深く知ること。
そこから何を読み取って、表現するのか・・・。

 

クラシック音楽の深さは、まさに「分析」にある、と
わたしは思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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