ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が音楽について語ります。
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2025年 ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの楽しみ方
2025年1月1日に行われる「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」
毎年楽しみにされている方、いらっしゃると思います。
毎年1月1日に行われるこのコンサートは、
単なる音楽のイベントではなく、
ウィーンの伝統や文化を感じることができる特別な時間であると感じています。
そして、世界中の人々に平和や喜びのメッセージを
伝える大切な役割を果たしています。
音楽をとおして、みんなが一緒に楽しみ、
心が温かくなる瞬間を共有することができる、
とても貴重な音楽祭だと感じています。
2025年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートは、
リッカルド・ムーティさんが指揮を務めます。
ムーティさんがこのコンサートを指揮するのは、
1993年、1997年、2000年、2004年、2018年、2021年に続き、
今回で7回目となります。
✧2021年のニューイヤーコンサートの音源はこちら。
✧2018年のニューイヤーコンサートの音源はこちら。
特に2025年は、”ワルツ王”として知られる
ヨハン・シュトラウス2世の生誕200周年のアニバーサリーイヤーのため、
彼の作品が中心となることが予想されます。
ムーティさんの指揮は、伝統を尊重しつつも、
新たな解釈や挑戦を取り入れることで知られています。
そのため、2025年のニューイヤーコンサートも、
クラシックな名曲と新鮮な演奏が融合した
魅力的なプログラムになっているのではないかと思います。
プログラムには、ガイガーの作品や、
ヘルメスベルガーの喜歌劇《すみれ娘》序曲が初登場となる予定です。
ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートとは?
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートは、1939年に始まりました。
当初は第二次世界大戦中にオーストリア文化を世界に伝える目的で開催され、
1941年以降、1月1日に定期的に行われるようになりました。
このコンサートは、ウィーンの音楽文化の象徴であり、
特にシュトラウス一家の楽曲が中心にプログラムされることが特徴となっています。
そしてこのニューイヤーコンサートは、
ウィーン楽友協会大ホールの華やかな「黄金の間」で開催されます。
ホールは世界的にも音響のよさで知られ、
金箔やクリスタルの装飾、華麗な花々が新年の祝賀ムードをさらに高めてくれます。
毎年、このコンサートは世界90カ国以上に生中継され、
1億人以上の視聴者が楽しむと言われています。
今年の指揮者はリッカルド・ムーティ
2025年のニューイヤーコンサートを指揮するリッカルド・ムーティは、
イタリア・ナポリ出身の指揮者で、現代クラシック音楽界を代表する巨匠の一人です。
✧経歴と功績
ムーティさんはナポリの音楽院でピアノを学び、
その後ミラノ音楽院で指揮をつとめました。
これまでにフィラデルフィア管弦楽団、スカラ座、
シカゴ交響楽団の音楽監督を歴任してきました。
ウィーン国立歌劇場で定期的に指揮を振り、
ウィーンフィルとの信頼関係を強く築いた方です。
✧ニューイヤーコンサートとの関係
リッカルド・ムーティさんがニューイヤーコンサートを指揮するのは
これが7回目となります(2025年時点)。
彼は、このコンサートの伝統を尊重しながらも、
独自の音楽的視点を取り入れることで知られています。
シュトラウス一家の作品でも、
旋律の美しさやリズムの軽快さを際立たせるムーティさんの解釈は、
多くの観客を魅了しています。
✧指揮のスタイルと特徴
ムーティさんの指揮は緻密でありながら、
とても人間らしさがあふれる情感が特徴です。
とくにワルツの演奏は、「詩的でありながら滑らかさをもつ」といわれていて、
シュトラウスの音楽に新しい息吹を与え、
ウィーンの伝統的な魅力もしっかりと守っているような気がします。
ムーティさんの熟練した指揮によって、
2025年のニューイヤーコンサートは、
伝統と革新が調和した特別なひとときになることでしょう。
2025年のプログラム
1.ヨハン・シュトラウス1世
自由行進曲 (Freiheits-Marsch) Op.226
2.ヨーゼフ・シュトラウス
ワルツ「オーストリアの村のつばめたち」 (Dorfschwalben aus Österreich). Op.164
3.ヨハン・シュトラウス2世
ポルカ・フランセーズ 「取り壊しのポルカ」 (Demolirer-Polka). Op.269
4.ヨハン・シュトラウス2世
入り江のワルツ (Lagunen-Walzer), Op.411
5.エドゥアルト・シュトラウス
ポルカ・シュネル 「軽やかで香り高く (Luftig und duftig).」Op.206
6.ヨハン・シュトラウス2世
オペレッタ《ジプシー男爵》序曲 (Ouvertüre zur Operette “Der Zigeunerbaron”)
7.ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ「加速度円舞曲」Op.234
8.ヨーゼフ・ヘルメスベルガー(息子)
オペレッタ《すみれ娘》から「陽気な兄弟たちの行進曲」 (Fidele Brüder)
9.コンスタンツェ・ガイガー
フェルディナンド・ワルツ (Ferdinandus-Walzer), Op.10 [編曲: W. デルナー]
10.ヨハン・シュトラウス2世
ポルカ・シュネル「あれかこれか!」 (Entweder – oder!). Op.403
11.ヨーゼフ・シュトラウス
ワルツ「トランスアクツィオネン」Op.184
12.ヨハン・シュトラウス2世
アンネン・ポルカ (Annen-Polka) Op.117
13.ヨハン・シュトラウス2世
ポルカ・シュネル「トリッチ・トラッチ・ポルカ」 (Tritsch-Tratsch-Polka) Op.214
14.ヨハン・シュトラウス2世
ワルツ「酒、女、歌」 (Wein, Weib und Gesang). Op.333
【アンコール曲】(2025.1.4追記)
15.ヨハン・シュトラウス2世
ポルカ・シュネル「インドの舞姫」Op.351
16.ヨハン・シュトラウス2世
「美しく青きドナウ」Op.314
17.ヨハン・シュトラウス2世
「ラデツキー行進曲」Op.228
プログラムの聴きどころは?
✧ヨハン・シュトラウス1世「自由行進曲」Op.226
ヨハン・シュトラウス1世の「自由行進曲」は、
あまり演奏されることのない珍しい曲で、
シュトラウス一家の伝統的な行進曲のスタイルを楽しめる1曲だと思います。
力強いリズムが特徴で、コンサートのオープニングにふさわしい、
活気あるスタートを飾ることでしょう。
ムーティさんの指揮によって、
行進曲のエネルギーや華やかなオーケストラの音色がさらに引き立ち、
聴く人たちを楽しませてくれることでしょう。
✧ヨハン・シュトラウス2世「ジプシー男爵」序曲
「ジプシー男爵」序曲は、シュトラウス2世のオペレッタから人気のある曲です。
この曲は、ウィーンの優雅なワルツのリズムとロマンチックなメロディが融合していて、
聴く人たちにウィーンの美しい風景を想像させてくれます。
ムーティさんがどのように感情豊かに指揮をされるのかとても楽しみです。
✧ヨハン・シュトラウス2世「加速度ワルツ」
「加速度ワルツ」はその名のとおり、とても速いテンポと活気あふれるリズムが特徴の曲で、
シュトラウスの音楽の中でも特にダイナミックな音楽です。
ムーティさんが、どのようにテンポをコントロールし、
オーケストラの力強い演奏を引き出すか、とても楽しみな1曲です。
✧ヨハン・シュトラウス2世 「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
「トリッチ・トラッチ・ポルカ」は、シュトラウス2世の中でも特に軽やかで明るい曲です。
リズムが速く、楽器が元気よく交わりながら進むこの曲は、
聴く人たちを一気に楽しい世界に引き込んでくれるでしょう。
ムーティさんの指揮で、どのようにテンポをうまく感じ取り、
オーケストラの元気な音を引き出すのかが楽しみです。
✧ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ「酒、女、歌」
「酒、女、歌」のワルツは、シュトラウス2世の代表的な曲のひとつで、
華やかで賑やかさが特徴の曲です。
この曲は祝祭的で楽しい雰囲気があるので、コンサートの締めくくりにぴったりだと思います。
ムーティさんが、最後の曲をどのように楽しく、
華やかな雰囲気をつくってくださるのか楽しみです。
まとめ
2025年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは、
シュトラウスの名曲がたっぷりつまった華やかなプログラムになっていると思います。
ムーティの指揮のもと、特に注目したいのは、
曲ごとのテンポやダイナミクスをうまく調整して、
ウィーンフィルならではの繊細で美しい演奏を引き出すところではないかと思います。
リズム感が大切なポルカやワルツでは、
ムーティさんがウィーンフィルにどんなエネルギーを与え、
聴いている私たちをどんな風に楽しませてくれるのかが、ひとつの見どころです。
また、「ジプシー男爵」序曲や「酒、女、歌」のワルツなど、
情感あふれるメロディーをどのように表現するのか、ムーティさんの指揮に注目が集まります。
プログラム全体として、ムーティさんの指揮が
楽曲のリズム、メロディー、ダイナミクスをどうやって美しくまとめられていくのかが、
このコンサートの魅力のひとつになるのではと注目しています。
当日の演奏を聴いたらまた、
感想などを投稿したいと思います。