ピアノ発表会のお礼は必要?お礼をしない親を先生はどう思う?
ピアノの発表会が終わったあと、
「先生に何かお礼をした方がいいのかな?」
と気になったことはありませんか?
発表会当日、ほかの保護者が先生に紙袋を渡しているのを見て、
「え? 何か用意するものだったの?」と急に不安になったり。
あるいは、自分では特に気にしていなかったのに、
「先生にちゃんとお礼したの?」と、
自分の親から言われて気になり始めたり。
発表会のお礼については、教室によっても、
家庭によっても、本当にさまざまです。
長くピアノ講師をしてきたわたしから見ても、
昔と今ではずいぶん変わったな、と感じています。
今回は、「発表会のお礼は必要なの?」という疑問について、
マナーとしての正解ではなく、講師側から見た本音も含めて書いてみたいと思います。
先生への「お礼」も、時代とともに変わってきた
わたしが若い頃は、今よりも先生と家庭とのお付き合いが濃かったように思います。
お中元やお歳暮を、毎年丁寧にくださるご家庭もけっこうありました。
発表会のときにも、「先生、ありがとうございました」と、
お菓子や品物を用意してくださる方がいました。
わたし自身、子どもの頃は、先生へのお中元やお歳暮がまだ身近な時代でした。
母も、ピアノの先生には毎回きちんとお渡ししていましたし、
発表会のあとにもお礼を用意していました。
それはわたしが大学に入ってからも続いていたと思います。
今振り返ると、先生とのお付き合いに対する感覚そのものが、
今とはずいぶん違っていたのだと思います。
でも、今はずいぶん変わりました。
少なくともわたしの場合、お中元やお歳暮をいただくことは、今ではほぼありません。
発表会のお礼も、本当にさまざまです。
当日にくださる方もいます。
次のレッスンのときに、「先生、発表会ありがとうございました」
と持ってきてくださる方もいます。
そして、特に何もないご家庭もたくさんあります。
むしろ今は、何もないからといって珍しいとは感じません。
先生と家庭との距離感や、お付き合いの仕方そのものが、
時代とともに変わってきたのだと思います。
発表会のお礼は、しなければいけないもの?
では、ピアノ発表会のお礼は必要なのでしょうか。
わたしは、義務ではないと思っています。
レッスン料を払い、発表会費を払い、
そのうえ先生への贈り物まで用意しなければ失礼、
というものではありません。
お礼がなかったからといって、「この親は非常識だな」
と思うわけでもありません。
もちろん、「お礼をもらえなかったから、この生徒には冷たくしよう」
なんていうことがあってはいけないと思います。
だから、ほかの保護者が何か渡しているのを見て、
「うちは何も用意してない! まずかったかな……」
と必要以上に心配することはありません。
何もしないご家庭も、普通にあります。
講師も、ひとりの人間だということ
とはいえ…。
ここからは、少しだけ講師の本音を書きます。
お礼をいただいたら、やっぱりうれしいです。
「先生、ありがとうございました」
と声をかけていただくだけでも、もちろんうれしい。
でも正直なところ、そこにちょっとしたお菓子や
お手紙などが添えられていたら、わたしはもう一段うれしいです、笑。
これは、高価なものが欲しいという意味ではありません。
金額の問題でもありません。
むしろ、発表会のような特別な日ではなく、
普段のレッスンのときに、「先生、今日も長い時間おつかれさまです」と、
お菓子やドーナツを差し入れてくださる方もいます。
そういうときは、やっぱりうれしいです。
「物をもらったから」というだけではなく、
こちらの大変さまで見てもらえていたんだな、と感じるからだと思います。
ピアノレッスンは、思っている以上に人間関係が出るところ
わたしは、ピアノレッスンというのは、
思っている以上に人間関係が出る場所だと思っています。
レッスン料を払い、講師がレッスンをする。
それだけを見れば、ひとつのサービスなのかもしれません。
でも実際には、何年もお付き合いが続くことがあります。
幼かった子が少しずつ成長していく姿を見たり。
練習がうまくいかなくて悩む時期があったり。
発表会まで一緒に曲を仕上げたり。
学校生活や思春期など、ピアノ以外の変化を感じることもあります。
保護者の方とも、その間ずっと関わっていきます。
そうやって時間を重ねていくうちに、
少しずつ信頼関係ができていきます。
だからわたしは、「レッスン料を払っているんだから、先生は教えて当然」と、
完全に割り切れるものでもないと思っています。
もちろん、レッスン料をいただいて教える。それは仕事です。
でも同時に、そこには長い時間をかけてつくられていく人と人との関係があります。
だからこそ、「先生、いつもありがとうございます」という言葉も、
「今日は長い時間おつかれさまでした」というちょっとした気遣いも、
やっぱりうれしいのです。
「ひいきする」とも違う
では、お礼をくださった家庭の生徒をひいきするのか。
もちろん、そういうことではありません。
その子だけレッスン時間を長くしたり、指導そのものを不公平にしたり。
贈り物の有無によって、生徒への扱いを変えるのは違うと思います。
ただ、人と人との関係として、「いつも丁寧に接してくださっているから、
今回はできる範囲で融通をきかせてあげようかな」とか、
「困っているみたいだから、少し力になってあげたいな」と思うことはあります。
人は、大切にしてもらったら、相手のことも大切にしたくなる。
親切にしてもらえば、こちらも親切にしたくなる。
それはピアノ教室に限らず、ごく自然なことではないでしょうか。
だからわたしは、「何かいただいても、何もいただかなくても、
先生の気持ちはまったく同じです」とまでは言い切れません。
それでは少し、きれいごとのような気がするからです。
何もない=感謝していない、ではない
一方で、ここは分けて考えたいところです。
何もなかったからといって、「このご家庭は、先生に感謝していない」
ということではありません。
そもそも、発表会のあとに先生へ何か渡すという習慣を知らない方もいるでしょう。
「言葉で伝えれば十分」と考えている方もいます。
それぞれの家庭の考え方もあります。
昔と今では、お付き合いの感覚そのものも違います。
ですから、品物があるかないかだけで、
そのご家庭の気持ちまで判断することはできません。
逆にいえば、「何か渡さなければ、先生に悪く思われるかも」
という不安だけで用意する必要もないと思っています。
「みんなやっているから」なら、無理にしなくてもいい
発表会では、どうしてもほかの保護者の姿が目に入ります。
隣のお母さんが先生に紙袋を渡している。
別のご家庭は、お花を渡している。
そんな様子を見れば、
「え、うちも何か渡した方がいい?」
と思うこともあるでしょう。
でも、もし、「みんなやっているみたいだから、
うちも何か渡しておいた方がいいかな」と思っているだけなら、
無理に用意しなくてもいいのではないでしょうか。
「した方がいいからする」と
「ありがとうを伝えたくてする」は、同じ行動でも少し違います。
そういう気持ちは、案外、言葉や態度の端々ににじむものかもしれません。
だから、もし迷ったら、「ありがとう」を言葉だけではなく、
何かかたちにして伝えたいなと思ったときに、ちょっとしたものを添える。
そのくらいでいいのだと思います。
「自分はどうしたい?」が、大事。
発表会のお礼には、「こうしなければいけない」
という、ひとつの正解があるわけではありません。
言葉で「ありがとうございました」と伝える。
子どもがお手紙を書く。
ちょっとしたお菓子を添える。
特に何もしない。
どれもありだと思います。
大切なのは、「みんながやっているから、
わたしもやった方がいいのかな」ではなく、
「わたしは、どうしたいんだろう?」
と、自分の気持ちに聞いてみること。
「ありがとう」を、もう少しかたちにして伝えたい。
そう思ったなら、何か添えてみる。
そうでなければ、無理にする必要はありません。
お礼について迷ったときには、周りを見るよりも、
まずそこを考えてみる。
わたしは、そのくらいでいいのではないかな、と思っています。
あわせて読みたい
発表会では、「先生へのお礼」だけでなく、
本番を迎える子どもに、親としてどう関わればいいのか迷うこともあります。
声をかけすぎた方がいいのか、見守った方がいいのか。
発表会当日の親御さんの関わり方については、こちらの記事で書いています。
🎶ピアノ発表会で、親が子どもにできること

