ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。
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独学と習うこと、どっちがいいの?
昔、子どもの頃にピアノを習っていた。
「途中でやめてしまったけど、大人になったいま、また始めたい。
でも時間がなくて・・・」
こんなふうに言う方に、よく出会います。
ピアノは子どもの頃に習いごとの中でも常に人気トップ5に入る存在。
クラスにも、ピアノを習っている子が何人かいたのではないでしょうか?
でも、大人になるとやめてしまう方が多いですよね。
とはいえ、「やっぱりまた弾けるようになりたい」と思う気持ちを持ち続けている方も少なくありません。
「習いたいけど、時間がない」
「練習する時間もとれない・・・」
こんな理由で二の足を踏んでいる方は、多いのではないでしょうか。
一方で、「独学で挑戦したけど、思うように進まず挫折してしまった」という方もいます。
そこで今回は、ピアノ学習は習うのがいいのか、それとも独学がいいのかについて考えてみたいと思います。
わたしがオススメするのは「習うこと」
結論から言うと、ピアノ講師であるわたしとして、断然「習うこと」をおすすめします。
これまで多くの生徒さんをみてきましたが、自宅での練習がうまくいかず、
課題を十分に仕上げられないまま次のレッスンに来る方も少なくありません。
でも、その「できなかった理由」一緒に解決していけるのが、講師の存在です。
習うことで得られるのは、単なる技術だけではありません。
モチベーションの維持や、効率的な練習方法のアドバイス、
行き詰まった時の解決策を提案してもらえるというメリットがあります。
とくに、初心者や久しぶりに再開する方には、このサポートが大きな助けになるはずです。
それでも独学を選ぶ場合
もちろん、時間や経済的な理由で、レッスンを受けるのが難しい方もいると思います。
そういう場合には、自分の心(思い)をある程度折り合いをつけながら、
効率的に独学を進める方法を考えることが大切です。
独学の場合、目標設定や練習の記録をつけること、
具体的な課題を決めて取り組むことが続けるポイントになります。
また、動画や本などの教材をうまく活用することも助けになります。
新しい年を迎え、「何かを始めたい」と思っている方にとって、
ピアノの学習をスタートする際の参考になればうれしいです。
ここからは習うこと、独学、それぞれのメリット・デメリット、
挫折してしまう理由や続けるコツなども書いていきますね。
習うことのメリット・デメリット
・メリット
- 基礎をしっかりと身につけられる
・姿勢や指の形、運指の正確さなどを直接レッスンしてもらえる。
・早い段階で間違いを修正できるため、効率的に上達することができる。 - 個別のフィードバックが受けられる
・ひとりひとりのレベルや目標に応じたアドバイスを受けられる。
・技術面だけでなく、表現力や音楽性も学べる。 - モチベーションを保ちやすい
・レッスン日があることで、練習のリズムができる。
・講師のサポートが励みになり、継続しやすい。 - 音楽の広がりを体験できる
・自分では選ばないような曲やジャンルに挑戦でき、視野が広がる。
・演奏会や発表会など、特別な体験が得られる。
・デメリット
- 費用がかかる
・レッスン料、教材費、交通費などのコストが必要になる。 - スケジュールの調整が必要
・レッスンに合わせた時間の確保が必要で、自由度が低い。 - 講師との相性が影響する
・教え方や人柄が自分に合わないと、逆にストレスになることも。 - 主体性が薄れる可能性がある
・指導に頼りすぎると、自分で考える力が育ちにくくなる場合がある。
独学のメリット・デメリット
・メリット
- 自分のペースで進められる
・時間や進度を自由に決められるので、特定のスケージュールに縛られない。
・忙しい場合や趣味として気軽に始めたい人には向いている。 - 費用を抑えられる
・レッスン料や交通費がかからないため、低コストで始められる。 - 学びたいことに集中できる
・好きな曲や興味のあるジャンルに絞って練習できる
・自分の好みに合った教材やYouTubeなどのオンライン教材を選んだりできる。 - 自己解決能力が身につく
・問題解決力や自己管理能力が養われる。
・デメリット
- 基礎が曖昧になる可能性がある
・姿勢や指づかい、音楽理論などの基本を誤って覚えると、あとで矯正が難しくなる。
・楽譜の読み方やタッチなど、重要なスキルが独学では身につきにくいことがある。 - モチベーションの維持が難しい
・誰からもフィードバックがないため、進歩が見えづらく挫折しやすい。 - 間違いに気づけない
・間違った演奏を繰り返し練習してしまうと、癖がついて修正が困難になる。 - 演奏表現が限定的になる
・自分だけでは幅広い音楽的解釈を学ぶ機会が限られる。
挫折してしまう理由とその解決法
ピアノの練習を続けていくのは、思ったよりも難しいもの。
なかなかうまく弾けるようにならないから、諦めたくなる時もありますよね。
講師に習っても独学でも言えることですが、こんな理由で挫折しやすいのではないでしょうか。
- 結果を急ぎすぎる
すぐに弾けるようになりたい!という気持ち、とてもよくわかります。
でも、ピアノって時間をかけてゆっくりじっくり育てていくものなんです。
「すぐに弾けなくてもいいや」って思えると、少し気持ちが楽になりますよ。 - 小さな進歩を感じる
「この曲を完璧に弾けるようになりたい!」と大きな目標をたてるのはすてきですが、そこにばかり目を向けていると、日々の小さな進歩に気づきにくいんです。
たとえば、「今日はここまでスムーズに弾けるようになった」とか、「テンポがちょっと安定してきた」というのも立派な成果です。 - 練習方法がわからない
何をどう練習すればいいのかわからないと、つい手が止まってしまいますよね。
そんな時は、難しい部分を短く区切って練習したり、ゆっくりとしたテンポから始めたりするだけでも効果的です。
メトロノームを使ってリズムを意識するのもおすすめですよ。
ゆっくり弾くことは、曲全体を把握するためにも大事なことなので、焦らずゆっくり練習しましょう。
続けるコツって?
ピアノを続けていくには、無理なく楽しめる工夫が大切です。
- 短時間でも毎日ピアノに触れる
毎日続けることで習慣化され、指が鍵盤に慣れていきます。
短い時間でも「弾くこと自体」が大切です。 - 進歩を記録する
日々の成長を視覚化することで、モチベーションを維持できます。
上達の過程を振り返ることが自信につながります。 - 小さなゴールをつくる
大きな目標だけではなく、「今日は右手だけでスムーズに弾く」「このフレーズを間違えずに弾く」など、達成感を得られる小さな目標を設定しましょう。 - 好きな曲を練習に取り入れる
練習曲だけでなく、自分が「弾きたい」と思う曲を取り入れると楽しさが増します。
好きな曲には感情が入りやすく、モチベーションが自然と湧いてきます。 - 定期的に録音や録画をする
自分の演奏を客観的に聴くことで、改善点や上達の実感を得ることができます。
また過去の録音と比べることで成長を感じやすくなります。 - 環境を整える
練習が持続しやすい環境を整えることも大切です。
ピアノの周りを片づけておく、椅子の高さを調整するなど、小さな工夫で集中しやすくなります。 - プロの演奏を聴く時間をつくる
コンサートやYouTubeでプロの演奏を聴く、音楽の映画を観るなど、ピアノへの憧れや情熱を思い出させてくれる時間を定期的につくりましょう。 - 無理をしすぎない
がんばりすぎて疲れてしまうと続きません。
練習を休む日をつくったり、気分転換に別のことをする日をつくるのも、長続きの秘訣です。 - 難易度のバランスをとる
練習曲が難しすぎると挫折しやすくなります。
簡単な曲や「絶対に弾ける曲」を混ぜながら、達成感と挑戦する気持ちのバランスをとるようにしましょう。
まとめ
ピアノの練習は、日々の練習の積み重ねで結果が出てくるプロセスそのもの。
その過程では、小さな進歩を楽しむことや、
自分の成長を感じることが何よりも大切です。
独学も講師に習う場合も、それぞれのよさがあります。
そして、基礎をしっかり学びたい時や、
練習方法がわからない場合には、講師に習うのがおすすめです。
「基礎は講師に習い、その後は独学で進める」という
ハイブリッド型の学び方もありかと思います。
それぞれのメリット・デメリットを知って、
どちらがご自分に合うか検討してみてくださいね。
ピアノをつうじて、自分の中に音楽が少しずつ
根づいていく感覚を楽しんでみてくださいね。