映画「フジコ・ヘミングの時間」を観て。

ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の実績を持つ私が思うこと。

 

♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪:♪:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪:

 

今日は、映画「フジコ・ヘミングの時間」を観て。

2018年の映画。

好きなピアニストは何人かいるけど、フジコさんはわたしにとって格別素敵なピアニスト。

初めて彼女の演奏を聴いたのは、わたしがピアノ講師を始めて7〜8年ほどたった頃だったと思う。

リストの「ラ・カンパネラ」を初めて聴いて、鳥肌がたった。

魂が揺さぶられる演奏というのは、こういうことをいうんだ・・・というわたしの中の何かが感動で震えた記憶・・・。

フジコさんの内側から溢れ出す、エネルギーをそのまま感じる・・・とても素晴らしい演奏です。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

遅咲きのピアニスト、として日本で注目されたフジコさんですが、瞬く間に人気者になっていきます。

この映画は、そんな彼女の幼少期の思い出から現在にいたるまでの、仕事とプライベート両方での彼女の素顔にスポットをあてたドキュメンタリー作品になっています。

わたしは手が小さいので、リストやラフマニノフ、ベートーヴェンなどのピアノ曲は力強く演奏することが難しく、そのためか練習の機会があまりなく、レパートリーも少ないです。

わたしの先生は、苦手を克服するというよりも、長所を伸ばす、というレッスンをしてくださったので、ショパンやドビュッシーを中心にバロックから近現代までのさまざまな曲を指導してくださいました。

もともと、リストやラフマニノフはご自身が手が大きい人なので、自分が弾ける曲を書く・・・となるとオクターブを超えるような超絶技巧を用いた曲が多くつくられました。

超絶技巧とは、卓越した技術を要するということのようで、並大抵のテクニックでは演奏が難しい曲のことを指すようです。

技術だけでなく、表現方法も次元が違います。

いまだ数名しか録音に成功していないといわれている超絶技巧練習曲もあるようで・・・(もはや練習曲ではないような気もしますが・・・)

わたしが得意ではないリストさまの曲を魂が震えるほどの感動をくれるこの方の演奏は、本当に素晴らしいの一言に尽きます。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

しかも、80代になった今でも現役でこの曲を演奏されているんです。

私自身、「指が衰えた・・・」なんて言っている場合ではありませんね、笑。

映画のラストに「ラ・カンパネラ」の演奏を聴くことができますが、ハンカチ必須です・・・泣。

6分を超える演奏のクライマックスでは、たたみかけてくるような勢いのあるパッセージが続きます。

このような演奏家のほとんどが、演奏中は「今ここ」の集中力を発揮されているとは思いますが、フジコさんの演奏はそれを超越しているよう。

一音一音に込める思い、演奏中はあまり過度に身体は動かさないのですが、心は入っている状態・・・。

それはきっと、彼女のこれまで生きてきた経験から湧き出てくるものなのでしょう。

紆余曲折、いろいろある人生の方が、演奏にも深みがますのかもしれません。

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

好きなものは好き、嫌いなものはきらい。

瞬間瞬間を本音で生きている、と感じた映画でした。

映画の中ではご自身の最期のことも語りつつ、まだ夢を叶えていきたいとおっしゃっていたそのお姿は、凛として美しく感じました。

 

Follow me!

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました