【ピアノ講師向け】弾かない子・逃げる子が生まれる理由〜子どもが固まる「NGな関わり方」とは

弾かない・逃げる・・・その瞬間、レッスンでは何が起きているのか

「もっと上手くしてあげたい」
「この子には、まだ伸びしろがある」

 

ピアノ講師なら、誰もが一度は抱く感覚です。
けれど、その“善意”が、目の前の生徒を動けなくしてしまう瞬間がある。

 

それを、わたしは10歳のAちゃんとのレッスンで、はっきり突きつけられました。

 

初回レッスン。
Aちゃんは、母親の膝から離れられませんでした。

 

1小節弾くたびに
「できない!」
と声を上げ、身体はどんどん硬くなっていく。

 

そして、ある瞬間。
彼女は椅子を降り、ピアノの下に潜り込みました。

 

当時のわたしは、声もかけられず、ただ立ち尽くすしかありませんでした。
今なら、あの場で何が起きていたのかが、はっきりわかります。

 

なぜ「先生の焦り」は、そのまま伝わってしまうのか

多くの講師が無自覚にやってしまうことがあります。
それは、生徒を「変えよう」とするエネルギーを出すことです。

 

これは指導ではなく、「抵抗」です。

 

先生が
「なんとかしなきゃ」
「このままじゃまずい」
と思った瞬間、その緊張は言葉より先に伝わります。

 

子どもは、空気で察します。

 

Aちゃんがピアノの下に潜ったのは、甘えでも反抗でもありません。
期待・評価・正しさから身を守るための、防御反応でした。

 

「闘わない」という選択が、必要になるとき

「克服しよう」とすることは、別の闘いを生みます。

 

弾かせようとすればするほど、
子どもの中の「逃げたい力」は強くなる。

 

ここで起きているのは、
子どもの意思の弱さでも、
講師の指導力不足でもありません。

 

両者のあいだの力の向きが、
少し噛み合っていないだけです。

 

これは、気合や根性の問題ではありません。
構造の問題です。

 

コントロールを手放したとき、音楽が動き出す

わたしは2年半、Aちゃんとレッスンを続けました。

 

そこで起きたのは、とてもシンプルな変化です。

 

わたしがコントロールをやめたとき、
彼女は自分のタイミングでピアノに戻ってきた。

 

弾かせようとしない。
沈黙を怖がらない。
「今は弾かない」という選択も含めて、存在を受け取る。

 

それは指導放棄ではありません。
指導者のOSを書き換える作業です。

 

同じテーマについて、
「レッスンが成立しない」と感じた場面で
講師の内側に何が起きていたのかを、
もう少し丁寧に書いた記事があります。

 

✦ ピアノのレッスンが成立しないときに
弾かない子・逃げる子への向き合い方と、
講師がまず整える視点

ピアノのレッスンが成立しないときに|弾かない子・逃げる子への向き合い方と、講師がまず整える視点
ピアノのレッスンが成立しない、弾かない・逃げる生徒への対応に悩んでいませんか? 25年以上の指導経験から、行動の背景にある心理と、今日から試せる小さな工夫を整理しました。 講師が疲弊しないための視点と、レッスンが動き出す“在り方”のヒントも紹介します。

 

 

この先にある「具体的な整え方」について

Aちゃんは、その後どうなったのか。
どんな関わり方で、何が変わっていったのか。

 

そして、わたし自身が
どのように「焦る講師の思考」から抜け出したのか。

 

その記録と具体的な整え方を、noteにまとめました。

 

Aちゃんとのレッスンの中で、
「何かが劇的に変わった」わけではありません。

 

それでも、時間をかけて関係を重ねる中で、
レッスンの空気は少しずつ変わっていきました。

 

退職の日、
「先生、なんでやめちゃうの。さみしいよ。」と
声をかけてくれた彼女の言葉を、
わたしは今でもよく覚えています。

 

その関係性に至るまで、
講師としてどんな迷いがあり、
どこで立ち止まり、
何を整えてきたのか。

 

その過程と実感を
noteの有料記事としてまとめました。
今の指導環境を本気で変えたいと感じている方にだけ、
受け取っていただけたらと思います。

 

▶︎ 続きはこちら
【ピアノレッスン】“弾かない子・逃げる子”との向き合い方。

【ピアノレッスン】“弾かない子・逃げる子”との向き合い方。講師歴25年の実体験と気づき|One Heart
こんにちは。ピアノ講師、メンタルコーチの「One Heart」です。 🎵この記事は、2025年7月に全文をブラッシュアップしました。 おかげさまで多くの方に読んでいただき、今回あらためて内容を見直し(有料パートの文量アップ)、表現も丁寧に整...

 

レッスンを
「闘いの場」ではなく
「音が戻ってくる場」にしたい方へ。

 

 

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