ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が音楽について語ります。
夏の終わり。
セミの声もだんだんと落ち着いた声になり、朝晩の涼しい風がどことなく秋を感じる頃。
夏の終わりに感じる、あの独特の寂しさや少し切ない感情にぴったりのクラシック曲をご紹介します。
ブラームスの「交響曲第3番 第3楽章」。
この楽章は、静かで深く、どこか郷愁を感じさせる旋律が心に響きます。
長い夏が終わり、涼しさが少しずつ増してくる季節に、この曲を聴きながらぜひ季節の移り変わりを感じてみてくださいね。
ブラームスの交響曲第3番
ブラームスは、交響曲を4曲しか作曲しなかったことで有名ですが、その中でも第3番は特に内省的で個人的な色合いが強い作品です。
下のプレイリストは、サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
1883年に作曲されたこの交響曲は、ブラームスが50歳を過ぎ、成熟した作曲家としての姿を反映しています。
第3楽章はその中でも、最も詩的で感情豊かな楽章と言えるでしょう。
第3楽章の構成と特徴
第3楽章「ポコ・アレグレット」は、他の楽章と比べて静かで落ち着いた雰囲気を持ち、感情の深さを感じさせます。
最初のメロディは、ヴィオラとチェロによって優しく奏でられ、ゆったりとしたリズムと共に、聞く者の心を引き込むような美しさがあります。
これは、まるで夏の終わりに、日に日に短くなる夕暮れを眺めながら感じる、ちょっとした寂しさと似ているような気がします。
と同時に、そのメロディにはどこか希望が感じられ、新しい季節への期待感も感じさせます。
またブラームスは「F-A-F」という動機を交響曲全体のテーマにしており、これは「Frei aber froh(自由だが幸せ)」という彼自身の座右の銘に由来しています。
このテーマは第3楽章にも反映されており、穏やかな旋律の中にも内なる強さが感じられます。
ブラームス自身が抱えていた孤独感や人生への深い思いが、まるで夏の終わりに立ち止まり、これからの季節を見つめる私たちの心情と重なるよう。
ブラームスの音楽はロマン派に属しますが、感情表現が激しすぎず、むしろ抑制された美しさが特徴です。
特にこの第3楽章では、派手さを求めず、内に秘めた静かな情熱と郷愁が表現されています。
夏の終わりに呼び起こされる感情
この曲を夏の終わりに聴くと、自然と心の中に過ぎ去った時間への懐かしさや、何かが終わりを迎える少しの寂しさが呼び起こされます。
どこかメランコリックでありながらも、穏やかで落ち着いたメロディは、これまでの夏の思い出を優しく包み込むようです。
夏の陽が沈み、日が短くなり、夜風が涼しくなる頃、この楽章の深い旋律が、心に静かな感動をもたらします。
それはまるで、長い夏の終わりを告げる音楽のようです。
夏の騒がしさが過ぎ去り、静寂とともに訪れる秋の気配が、この曲の中で優しく表現されているように感じます。
この曲がもたらすメッセージ
ブラームスの第3楽章は、人生の一つのフェーズが終わり、新しい季節が訪れることを静かに受け入れるための心の準備をしてくれるようです。
激しさや高揚感ではなく、穏やかな終わりと次の始まりに向けた静かな期待感が漂っています。
ブラームスがこの楽章で描くのは、ただの哀愁ではありません。
そこには常に前向きな要素があり、彼の「自由だが幸せ」というテーマがその根底に流れています。
これは、夏が終わることへの哀しみではなく、次なる季節に向かって歩み出すための静かな決意を表しているようです。
音楽の中に込められた豊かな感情は、聴く者の心を癒し、季節の移ろいを感じさせてくれるでしょう。
特に、夏の終わりという時期にこの楽章を聴くと、そのメッセージがより一層、心に響くのではないでしょうか。
まとめ
ブラームスの「交響曲第3番 第3楽章」は、夏の終わりに感じる心の深い部分に触れるような、美しく繊細な作品です。
穏やかな中に、豊かな感情が込められており、季節の移り変わりをしみじみと感じさせてくれます。
夏が終わりに近づき、少し涼しさが感じられる頃、この楽章を聴きながら、季節の終わりを受け入れ、新しい季節の始まりに向けて心を整えてみてはいかがでしょうか。
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