ヤマハ音楽教室講師歴25年以上の経験を持つピアノ講師が悩みに寄り添います。
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今、学習している曲ではなくて、教本の次のページの曲やもっと後ろページの曲が気になってしまう生徒さん、いますよね。
教本の後半の有名なあの曲が早く弾きたい、とか
最後の方に載っている憧れの曲が弾きたい、と
レッスン中にいつもテキストの後ろのページをめくってしまう生徒。
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過去にレッスンしていた生徒さんのケース。
まだ修正できる箇所があるので、アドバイスしようと鉛筆で楽譜に書き込みをしようとしたら、「えーっ?まだやるのー?」と言ってとてもイヤそうな感じだったことがあります。
アドバイスしている途中で、テキストのページをめくり始める子もいました。
聞く耳持たず・・・、これではレッスンにならず困ってしまいます。
この時の生徒さんの心境としては、気持ちばかりが焦ってしまい、今の練習に集中できていないことが考えられます。
今練習中の曲も行き詰まっている場合、
後に習うであろう別の曲のことばかりに気が散ってしまうケースについての対処法。
”いま”、何に行き詰まっているのかを聞いてみる。
ページをすぐにめくってしまう行動の裏には、”早く違う曲を弾きたい”
”いまの練習がなんだかつまらない”と思っている場合がほとんどです。
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ピアノの練習は、「過程(プロセス)」が大切です。
日々の練習の積み重ねが、一週間後、1ヶ月後、3ヶ月後と身を結んでいくわけです。
すぐに結果が出ないこと(すぐに合格をもらうこと)にイライラを感じ、コツコツと積み上げる喜びが感じられないと、次が気になってしかたない・・・そんな状態になります。
これは、生徒のもともと持っている性格もあるかもしれません。
ひとりでコツコツと向き合える性格か、飽きっぽい性格か、というのもたしかにあります。
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ひとつひとつの成功体験を積み重ねることが大切なピアノの学習。
一曲、一曲の完成が小さな達成感を生み、それが一冊の教本が終わると少し大きな達成感となる。
そんな「積み重ね」で身についていくのが、ピアノ学習なのです。
何に行き詰まっているのかを生徒に聞いて、まずはそれを理解してあげる。
考えられる答えとしては、「もうこの曲飽きた」とか「つまらない」と言った回答。
練習のモチベーションとして、飽きてしまったりつまらないと感じている曲を練習するのはとてもつらいですね。
でも、飽きる理由のひとつとして、この曲の魅力に気づけていない、ということも考えられるので、講師側ができることとして、この曲の魅力をうまく伝え、よりきれいに美しく弾くためにどうしたらいいかと具体的に伝える努力をしてほしいと思います。
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どんなにシンプルな曲でも、「音楽の魅力」というのはある。
もしかしたら、そもそも興味がわかない曲だったり、その子が意固地で頑固な性格だったら、それが伝わらないかもしれません。
ダメ元でも、レッスンに通ってくれている大切な生徒さんですから、講師の言葉の何かひとつでも拾ってくれるかもしれない、と希望を持って諦めずに伝えてみてください。
小さな目標をたてる
そして、毎日5分でもいいから積み重ねることで得られる達成感を体感してもらえるよう小さな目標を立てる。
一曲仕上げるのが大変なら、4小節だけでもいい。
長いプロセスがかかるのがイヤだという生徒もいますが、ペースは人それぞれです。
一日5分しか練習できなければ、その分進度は遅いですし、一日30分練習できれば、もう少し早く弾けるようになる。
「これだけ練習したら、このくらいしかできないかもしれないけれど、
もし30分練習したらここまで弾けるようになるかもしれないね」といった具合に。
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ピアノというのは、長い期間練習を積み重ね、自分自身と向き合っていくことが大切になります。
今日明日でうまくなるわけではないので、生徒さんのやる気がなくなってしまったからといってすぐに合格をあげてしまうのではなく、「今できることは今きちんとやろう」と言って、一歩でもいいから前進できるよう声をかけてあげましょう。
そのまま生徒さんの要望を聞いてしまい、次の曲へ進んだらその先でもっと大きな挫折を味わうかもしれません。
それはそれで、その生徒さんの試練なのかもしれませんが、講師としてはひとつひとつのステップを確実に上っていけるよう、できるかぎりアドバイスしていきたいものです。
ご褒美をあげる
すぐに飽きてしまう生徒さんにとって、”ご褒美をあげること”は効果があるかもしれません。
”はなまる”とか、豪華なシールとか、普段することのない報酬を何か考えてあげる。
いつもいつもこれをしてしまうと、”ご褒美”の意味がなくなってしまうので、どうしても対処に困った時はこの方法もいいかもしれません。
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わたしは過去に、「大きなシール作戦」をして、生徒のモチベーションを上げたことがあります。
普段わたしのレッスンでは楽譜にシールを貼ることをしませんでしたが、弾けたら大きなシールをあげる、と約束して練習してもらいました。なかなか練習がはかどらない子で、それでもなんとか4小節は練習できて、少し前進できた実感がありました。
こんなふうに報酬をあげると、だんだん練習ができるようになってきます。
もともとの性格ややる気の度合いにもよるので、ひとりひとり違うとは思いますが、いろいろと試してみるといいかと思います。
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自分の子供時代の厳しい練習経験を話して押しつける講師もいますが、時代が変わった今、習いごとも多様化して、生徒さんやその親御さまも忙しい日常の中、レッスンに通ってくれています。
もちろんピアノを習っている生徒さんのほとんどがピアノ最優先というスタンスで、毎日コンスタントに練習をして、積み重ねて自信をつけていくケースが多いと思いますが、中には毎日習いごとをしていて練習時間がとれない、という生徒さんもいますので、そこは理解し寄り添っていきたいところです。